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官能小説「零れる月」 教師(6) 


一哉からは、次の日に早速電話がかかってきた。


「番号、しっかり覚えてたのね…」
「当然。残念でした」

明るい声が聞こえて、ほっとする。
彼との縁を失わずに済んだことにも、
どこかで安堵していたのかもしれない。


「今、大丈夫?彼氏とか来てないの?」
「うん。私、友達と一緒に住んでるから」
「そうなんだ。よかった…友達出てたら、俺間違えたと思って切っちゃってたよ」

そのルームメイトも、最近付き合い始めた彼の家に入り浸って
なかなか帰ってこなくなっていた。

「何してたの?」
「ああ、お風呂入ろうかと思って」

時計は、夜の9時を回ったところ。
私はリモコンに手を伸ばして、付けっ放しだったテレビを消した。


「そうか…なんか妄想しそうだな」

夢の中のような逢瀬が思い出される。

「あれから、ちゃんと無事に帰れたようで良かったよ」

私は、慌てて他の会話にすり替える。
まだ生々しく残る彼の感触。
思い出さない方が良い気がした。


「また逢える?俺、逢いたいんだけど」
他愛ない会話が止まると、彼ははっきりとした口調で言った。

「…しばらく忙しいから、また連絡する」
私は、彼の番号を書き留めて、静かに受話器を置いた。


小さなソファーに体を沈める。
まだ、意識が浮遊している感じ。

中途半端に汚された体。
最後まで抱かれていたら…少しは楽だったんだろうか。


ぼんやりと視線を天井に彷徨わせていると、また電話が鳴った。

「もしもし」
「美羽か?俺」

その声に、鼓動が跳ね上がる。

「先生?今、学校?」
震える声を悟られないように、受話器を握り直す。

「ああ、今日は逢えそうにないな」

電話の向こうで、椅子が軋む音。
彼が背伸びする様子が窺える。


逢えそうにない?
私は、彼の言葉にきょとんとする。

いつも、そんなことで電話はかかってこない。
電話を掛けてくる時は、彼の都合による突然の逢瀬の誘いだけで。


「どうかしたの…?」
「美羽の声が聞きたかったんだよ」

聞き慣れない言葉に、胸が締め付けられる。

「先生…変…」
「お前、先生先生言うな。まだ同窓会やってんのか」

不審がる私に、彼の可笑しそうな声が届く。


「ちゃんと大人しく帰ったんだろうな」
「え…あ、うん。二次会までは行ったけど…」

一哉とのことは勿論言えない。
鼓動が聞こえそうなほどに大きくなる。


「そうか。今、一人?」
「うん」

「抱きてぇよ…」

彼の言葉に、敏感に体が反応する。

私は震える体を鎮めるように、ソファーに座り直す。

「私用電話、大丈夫なの?」
「お前、最近母親っぽいぞ」

吹き出す声。
椅子に腰掛けた彼の姿。吐息を間近に感じる。


「なぁ…」
彼の声が低くなる。

「お前のこと考えると勃っちまうんだよ」
「…そんなこと…」
「今も勃ってる」


記憶が戻っていく。
彼と逢瀬を重ねた、狭い研究室。

今も、書類やら参考書やらで足の踏み場もないんだろうか。
差し込む夕日。被さってくる、影。


「覚えてるか…?此処で抱いてた時のこと」
「…覚えてるよ…」

忘れるはずがない。
彼と重ねた時、鼓動。
入り込んでくる堅さも。


「美羽…服脱げよ。全部」

「え、何…今?」
「早くしろ」

彼の声に押されて、戸惑いながら服に手を掛ける。

「どんな下着付けてんの。今」
「…今日はピンクの…」

消え入りそうな声で答える。
部屋の中で一人裸になるのは恥ずかしくて躊躇われた。


「俺の指、覚えてるよな」
「…うん…」

大きな手、乱暴な愛撫。

「聞いててやる。一人でしてみな」
「え…」


「ほら、脚開けよ。私用電話はいけないんだろ?」

急かすような口調。
私は、指先をショーツへと伸ばす。


「もう濡れてるんじゃねぇの」
「…ぁ…」

ショーツ越しに割れ目をなぞる。

「ほら、それは俺の指。声出せよ」
「…いや…はずかし…」
「美羽」
「…っ…ぅ…」


熱に浮かされたように指先を滑らせる。
ショーツに染みが広がる。

「…っ…は…ッ」
「濡れてきただろ。おまえのはすぐぐしょぐしょになるから」

「そ…んな…ぅ・…」
「気持ちいいって言え。ちんぽやらねーぞ」

「ぁっ…ぁ…きもち…い……ッ」


ぬるりと愛液が零れてくる。
ショーツ越しに堅くなったクリトリスが擦れる。
甘い声が漏れる。


「ぐちょぐちょのとこ、かき混ぜて音聞かせろよ、なぁ」

彼の息が上がっていくのを感じる。

「ぁ…んっ…く…裕介さ…ぁ…」
「美羽…俺も扱いてるから…ちゃんと声出せ」


切なそうな声に、体が熱くなる。

「裕介…さんの…欲しい…欲しい」
指先がちゃぷちゃぷと音を立てて、脚が開く。

「…ッ…はっ…音聞かせろ。もっと…」


受話器を沸き出す箇所に近づける。

ちゅく、ちゃぷ…淫猥な音が響く。


「いやらしいな…お前は……はッ」
彼の熱い息がかかる。

「ね…ぇ…犯して…犯して」


体が熱くてたまらない。
弄る指が激しくなる。

「あなたのもの…なの…ねぇ…」
自分が何を言ってるのか、もう判らない。


意識が朦朧とする。
びくびくと震える入り口。
愛液は臀部を伝ってソファーを濡らして。


「…っ…は…みわ…入れるぞ…」

呻くような声。
私は、蠢く中に指先を突き入れる。

「…っ…ああああっ!!」

じゅぷじゅぷと愛液が泡立つ音が聞こえる。


もう、それは私の指ではない。
焦がれて焦がれて、求める彼のペニス。


「ぁ…ん…いっちゃう…裕介さんっ…いっちゃう…よぉ」

「っ…は…中に出してやる…全部出してやる」

「出して…出して…あなたの…体なの」

「ああ…お前は…お前は俺のモノだ……!!」



受話器は汗と愛液でずるずると滑って、押しつけていた耳が痛む。

「…っ…はぁ…はぁ…」
彼の荒い息遣いが遠くに聞こえる。

「…ちゃんといったか…?」
「…う…ん…」

「俺も出しちまったよ」


胸がきゅんと締め付けられる。
私で出してくれたのが嬉しい。
私を感じてくれたのが嬉しい。


「裕介さん…」
満たされた気持ちで、ゆっくりと名を呼ぶ。

「くく… 先生、は止めたのか」

茶化す声に少しむっとする。

「佐伯先生、ちゃんとお仕事してください」
「へいへい」

かちり。ライターの音。

「今度はちゃんと抱きに行く」

煙草をくわえた彼の声。

「…うん…」


早く抱きに来て。

通話の切れた受話器を握りしめる。
乱れた衣服。淫猥な臭いの立ちこめる部屋。



私は…汚されたいのかもしれない。


愛液にまみれた指先を、そっと口に含む。
そのまま、気怠い体を引きずるようにバスルームへと向かった。



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