FC2ブログ








官能小説「零れる月」 教師(4) 


「あ。そうだ、同窓会の通知来たか?」

いつものホテル。ぶ厚いカーテンが掛かったオレンジ色の部屋。
行為を終えて一呼吸置いた彼が、煙草を探しながら口を開く。


「来たよ。あなたのクラスと合同でするみたいね」

私は彼の担任するクラスではなかったが
合同補習の多かった進学クラスは、生徒同士も密な関係を築いていた。


「美枝子が張り切ってたよ。地元だからって…
私も幹事に引きずり込まれそうになったけど」

「ふぅん。んな楽しいもんなのかね。
ま。まだ二年だし、集まりがいいかもな」
眉間に軽く皺を寄せた彼が、煙草に火を付ける。


「で、お前行くの?」
「行くつもりだけど…行っちゃ駄目なの?」

「だって、お前の顔見て勃っちまったらどーすんの。くく…」
「……馬鹿」


最近の彼は良く喋る。
フィルターギリギリまで吸った煙草を灰皿に押しつけると
またベッドの中に潜り込んできた。
行為の後でまだ気怠い私の胸に、甘えるように顔を埋めてくる。

まるで、子供みたいだ。



同窓会の会場は、海沿いの小さなホテルだった。

卒業してから二年。皆、それほど変わってはいないけれど、
都会に出ていた友人達はどこか垢抜けたりしていて。
受付のある広いフロアは、明るく賑やかな声で溢れていた。


私は、黒地にピンクのプリントを施したシンプルなワンピース。
友人と一緒にコートを預けていると、彼がやってきた。


白いニットにジャケット。
ノーネクタイのラフな姿。
いつもよりも若く見えるその姿に違和感を感じて、視線が釘付けになる。


私は、スーツ姿以外の彼を見たことがないのだ。

卒業してからも、彼は学校での業務を終えた後、
そのままの姿で私を迎えに来ていた。

二人逢うのは、いつも暗闇の中で。
二人でどこか食事に出かけたこともなければ、
昼間に肩を並べて歩いたこともない。


陽の光の中での彼は別人に見えて
私と彼との距離を遠ざける気がした。


彼との逢瀬、唇にかかる吐息。すべては夢の中の出来事…
皆に囲まれる彼の姿を見つめながら、
ぼんやりと一人取り残された心地になる。


囲まれながら受付を済ませた彼が、私の方へと近付いてきた。
咄嗟に視線を逸らして背を向ける。締め付けられた胸が苦しい。


「よ。元気だったか?」
背後からの声。

頭に大きな手の平が乗せられて、びくりとする。
いつもの声。
その顔を振り返ると、私は精一杯の笑顔を作ってみせた。


「先生。お久しぶりです」

視線を合わせると、彼の表情が少し緩んだ。
胸の奥がずきりと痛む。


「お、小倉。生きてたのか」
彼は肩に軽く触れると私から離れ、また違う人の輪へと向かった。


触れられた箇所が熱い。
鼓動が早くなって涙が滲みそうになる。


私は彼の背中を視線で追いながら、此処に来たことを後悔し始めていた。





ランキング応援いつも有り難うございます(別窓で開きます)
人気ブログランキングへ

官能小説「零れる月」 教師(5) 


私は、友人達とうわの空で会話しながら、
温くなったビールをちびちびと飲んでいた。


大きな窓から、陽の差し込む割と広い会場。
小さなステージと、七、八人くらいが囲める丸いテーブルがいくつか。
壁伝いには、バイキング形式のちょっとした料理やデザート類が並べられている。


卒業してからまだ二年ということもあって出席率は高く、
皆それぞれの近況話で盛り上がっていた。


ちらりと視線を遣る。
二つ向こうのテーブルで彼が赤い顔をしている。
相当飲まされているみたいだ。


なんだかんだ言いながら、やはり教え子は可愛いらしい。

彼は、クラスの生徒の名を、渡された名簿を殆ど見ることもないまま
ステージで呼び上げると、一人一人に思い出話を付け加えた。
皆、担任が自分を覚えてくれていたことが嬉しかったようだ。


在学中、厳しかった彼の評価は二分していたけれど、
それぞれに希望する進路へ導いたのも彼。

彼は、何年も進学クラスを担当する評価の高い教師だった。
きっと将来も約束されているんだろう。
彼の父親もどこかの校長だったと噂に聞いたことがある。

その分、色々な雑務でいつも忙しそうではあったが、
その不規則で慌ただしい生活に、私たちの逢瀬は上手く紛れ込んでいたのだ。


「よぅ、飲んでるかぁ」
彼がひょこりと私の背後から首を出した。

「わぁ、佐伯せんせー!飲んで飲んでー」
友人達が、放置されて汗をかいた瓶ビールを掴んで彼に詰め寄る。

「う、もぅ勘弁してくれよ」
注がれるビールを苦痛そうに見遣る彼。

「一杯だけな、ほら見ろ。お前達が飲ませるから腹が出て…」
「お腹が出てるのは中年太りでしょー」
「うるせぇ」

「ほら、美羽も注いであげなよ」
友人から瓶が手渡される。

「いつも佐伯先生と美羽、いちゃいちゃしてたじゃない」


「…っふ…!!」
彼がビールを吹きそうになって身を屈めた。
私も、瓶を持ったままの姿勢で固まる。

「だって、先生。補習の時、いつも美羽ばっか当ててたもんねぇ」


…ああ、そういうことか。

冗談で流された会話に、へなへなと力が抜けそうになる。
放課後の二人の逢瀬を思い出して心臓が止まりそうになった。
アレがばれたなら、きっと彼は学校にはいられない筈。


「ふはは。美羽は俺のお気に入りだったからな」
軽い調子に戻った彼が、私の肩に腕を回す。

「あ、せんせー、セクハラだよー!」
きゃいきゃいと黄色い声が上がる中で、私は石のように固まったままでいた。



ざわめく会場を抜けてトイレに向かおうとすると、
彼がロビーの隅のソファーに体を投げ出し、一人で煙草を吸っていた。

近付こうか躊躇っている私の姿を見つけて、こっち、と手招く。
私は、周りを気にしつつも、おずおずと彼の傍に歩みを進めた。


「さっきは吃驚したな…」
小声で彼が可笑しそうに呟く。

「心臓止まりそうになったわよ」
まだどきどきが収まらない。

「…色んなこと、思い出したよ」


彼が顔を上げる。目の前に立ったままの私と視線が合う。
笑っているのか、哀しんでいるのか、色んな感情が交ざった複雑な顔。


彼は立ち上がって、階段ホールの方へ向かった。
会場からは死角になっているが、開け放たれた会場からは賑やかな笑い声が聞こえる。
私は、無言で彼の後を追う。


「キスしたくなった」

彼が、私の腰を引き寄せて上を向かせる。

「ちょっと…せんせ…」
「先生、、か…」

言葉を飲み込むように深く唇が合わせられる。貪るようなキス。

「…っ…ぁ…ん」


ちゅ、くん、絡み合う唾液を飲み干す。

両の手の平が背中を滑り落ちて、尻肉を掴み上げる。

私は小さく声を上げる。
ずり上がったショーツが秘部を刺激して。


「お前見ると勃っちまうな。やっぱり・・・」

固くなったものを、ズボン越しに擦りつけてくる。
きゅん、体の奥が熱くなって、応えるように溢れ出してくるのが判る。

「…っ…酔ってるの…?」
「酔ってない」


また合わせた唇から、まるで犯すように乱暴に舌が入り込んでくる。
足が小刻みに震えて、背中にしがみつく。
談笑する声が、近くに、遠くに聞こえて。


「…誰か来ちゃう…よ…」
崩れそうになる理性を呼び起こす。

「美羽…」
「…なに?」

「愛してる」


私は、トイレの洗面台の前で呆然と立ちつくしていた。
鏡の中には、蒼白い私の顔。

滲んだ口紅をゆるゆるとひき直しながら、
彼の唇に残ってはいないかとぼんやり心配した。


きっと、何よりも欲しかった言葉。
それなのに、それなのに。

私は、感情と共に彼の言葉を深いところへと押し遣った。


これは、夢の中の台詞。

まるで水の底から地上を見上げるような、不思議な感覚に囚われながら
彼の温もりの残る体を、鏡の前で静かに抱きしめた。




ランキング応援いつも有り難うございます(別窓で開きます)
人気ブログランキングへ

官能小説「零れる月」 友人(1) 


「美羽ちゃん、キレイになったね」


こんなに調子のいい男だったっけ。
隣で乾杯の生ビールに口を付ける友人の横顔を眺める。


ふらふらと流されるままに二次会の会場まで来てしまった。
耳障りな程に賑やかな、声に音楽。
場所は庶民的な価格で人気のある居酒屋。
横長の座卓をずらりと囲むように、狭い座敷に皆がひしめき合っていた。



思いの外盛り上がった同窓会は、夕方で終了した。
当然のごとく用意されている二次会に、半数以上が参加すると手を挙げた。
幹事達がバタバタと慌ただしく電話をかけている。


「美羽も来るよね?」
女友達に袖を掴まれたまま、私はぼんやりと頷く。
このまま、一人になりたくはなかった。


「ねー、佐伯先生は?」
少し遠くで聞こえる声に、びくりとして耳を澄ます。

「俺はもういい。皆達者でな」
「えーーー」

彼は引き止める教え子達を軽くあしらって、
路肩に並んで待っていたタクシーに乗り込んだ。


本当は帰って欲しくなかった。
彼の乗り込んだタクシーが走り出す。
人に遮られて、彼の顔を見ることはできなかった。



「美羽ちゃん、よく飲むねぇ」

私の右隣に座ったのは、同じクラスの一哉だった。
あまり、見た目は変わらない。短髪で男らしくすっきりとした顔。
ルックスも良くて人気もあったけれど、
高校時代はずっと同じ進学クラスの女子とつき合っていた。


「私、そんなに飲めないのよね」

頬はきっと真っ赤で、耳まで熱い。
私は梅酒だのサワーだの、飲みやすいアルコール類を速いペースで重ねていた。


私は普段お酒にとても弱い。
でも、今日は妙に意識がはっきりして、いくらでも飲める気がした。
飲めるだけ飲もう。今は何も考えたくない。


「一哉くん、彼女とはどうなったの」
人形のように可愛らしかった彼女の顔が浮かぶ。

「ああ、あいつ県外に進学しただろ?
しばらく遠距離してたけど、やっぱり続かなかったよ」
「へぇ・・・そういえば彼女、来てなかったね」

私は彼と他愛のない会話を交わしながら、杯を重ねた。
左隣に座っていた女友達も、その隣の友人との会話に夢中で。


「俺、美羽ちゃんのこと気になってたんだよね」
生ビールから、熱燗へと移行した彼が明るい調子で言う。

「うそばっかりー。酔ってるんでしょ?」
けらけらと笑い飛ばす。


教師である彼との逢瀬に精一杯だったあの頃は
同年代の男子に何の興味もなかった。
その私が異性としての興味を持たれるなど、あり得ない話で。


「ホントだってば。美羽ちゃん、なんか大人びててさ。
上手く言えないけど…なんか他の子とはちょっと違ってたから」


「…でも、ホント、キレイになったよ」
彼がまっすぐに私の顔を見つめる。

私は軽く笑い返すと、頬杖を付いて呟いてみる。
「私…佐伯先生のことが好きだったのよね」

名を呼ぶと鼓動が早くなった。
彼が好き… 口に出すと、抑えている感情が溢れ出しそうになる。

「へぇ、やっぱり大人だったんだなぁ」
予想したとおり、軽い返答が返ってきた。


教師で、18も年が離れた妻帯者。
彼への恋心は、憧れで終わったはず。
誰もがきっと、そう思うだろう。


「美羽ちゃん、今彼氏居るの?」
「いるわよ。同じ大学の人」
「へぇ・・・羨ましいな」
「一哉くんこそ。モテるでしょう?」


私は、必要以上に彼の体に触れていたかもしれない。
座卓の下で、伸ばされた彼の手が私の右手を握る。
私は、皆に見られぬように、その手に指を絡めていた。



「そろそろ三次会に移動しようか」
幹事達が声を掛けて、皆が立ち上がる。

私達は、ずっと片手を握り合ったまま飲んでいた。
汗ばんだ手をゆっくりと解く。
温もりが恋しくて、寂しい気持ちになる。


ぞろぞろと、次の会場目指して夜の街を歩き始める。
流石に足にきているようだ。
ふらついてまっすぐ歩けない。

「美羽ちゃん、調子悪そうだから、俺送っていくわ」

並んで歩いていた彼が、女友達に声を掛けた。
「えー、美羽、大丈夫?」

気分が悪いというわけでもなかったが、彼に従うことにした。
「ん、また連絡するね。今日は楽しかった」

「一哉、送り狼にならないようにねー」
軽く冷やかしを受けながら、皆から離れる。
彼は、逆方向へとゆっくり歩き始めた。


「大丈夫?」
彼が、そっと肩を抱く。

「うん・・・平気」
肩に少しより掛かる。熱い体。


そのまま、二人はタクシーを後目に路地へと入った。
「もう少し、話しよう」

肩を抱かれたまま、淡いピンクの照明に照らされる。
その建物を見上げて一瞬躊躇したけれど、
私は大人しく彼に従って中へと入った。


エレベーターに乗り込む。
流れる沈黙。

彼が部屋を選んでいる間、
私は長い絨毯の続く廊下を眺めていた。






ランキング応援いつも有り難うございます(別窓で開きます)
人気ブログランキングへ

官能小説「零れる月」 友人(2) 


清潔感のある部屋の中で、私たちの意識は少しだけ健全に戻っていた。


いつも教師の彼と逢瀬を重ねる部屋は、暗くて重々しい。
必要以上に照明の落ちたオレンジ色の部屋はとても狭くて。
人目を避けた、行為の為だけのスペース。

いつもそんな部屋で抱き合っていたせいか、
設備の整った真新しいホテルの広い部屋は
淫猥な雰囲気で染められないような気がした。



二人は、ベッド脇に置かれたソファーに並んで座った。

「ごめんな。こんな所に連れ込んで」
一哉が、ばつの悪そうな顔で口を開く。

「ううん。もう少し一緒にいたかったから…」

私の言葉に、彼がおずおずと肩を抱く。
私は静かな気持ちで彼の肩に寄りかかる。


「美羽ちゃん。何かあったの?」
今度は心配そうな顔。

欲望と戦う彼は、とてもいい人だと思った。
一方で、私はいたたまれない気持ちになる。


「ううん…別に何もない」
「どうしたの…甘えたいの…?」

向き合った彼が額をくっつける。
「キスだけなら…いいよね?」


彼は、窺うように少しずつ唇を重ねてきた。
少し乾いた、固い唇の感触。

私は、軽くその唇を食む。
彼の鼓動を感じるけれど…
私の胸は波を打ったように静かで。

夢の中の出来事のように、彼の唇をただ、感じる。
静かな部屋の中で、小さく水音が響いて。
彼の息に熱が籠もっていく。


舌が割り入れられて、口内をゆっくりとかき混ぜる。
片腕はしっかりと腰を抱いて、
もう片方の手は弄ぶように私の髪をかき上げていた。

時折耳元にかかる刺激に、ぞくりと身を震わせる。


「…っ…ふ…ぁ」
小さく息を漏らす度に、唇がより深く合わせられて。

優しくて情熱的なキス。
この人はとてもキスが上手だ。


舌をゆっくりと絡める。
零れた唾液が口元を濡らす。

力を抜いて体を委ねると、
抱き合ったままでソファーからずり落ちた。

テーブルとの狭い隙間に落ちても、
私たちは貪るように唇を重ねることを止めなかった。

荒い息、絡み合う唾液の音が大きくなって…
体が熱くなって、びくびくと女の部分が欲するように震える。


彼が、唾液の糸を引かせながら、ゆっくりと体を離した。

「やべぇな…」
彼は、独り言のように呟いて苦しげな表情を見せる。

床に組み敷かれた格好のまま、私は何も言わなかった。
彼は私に笑みを向けると、ベッドへ行こうか、と優しく抱き起こした。



大きなベッドの中に二人で入る。

彼は片腕を投げ出して、私の頭を乗せた。
腕枕の格好で、包むように私の頭を抱く。

額にキスを落としながら優しく髪を撫でる彼。
私は、その表情を間近で眺める。


「キスだけな。キスだけ」
彼が言い聞かせるように呟いて笑う。

時折、強く抱きしめて唇を重ねる。
そして、貪るようなキスを引きはがすように
体から離れては、また抱きしめられるのだ。

その繰り返しに、私の頭は朦朧としていた。


「…したくないの…?」
泣き声に近かったかもしれない。

「…いいの?」


彼の体が、息もできないほどに強く私の体を包む。

唇から離れた舌が首筋を舐め、彼の手の平が全身をゆっくりと這う。

甘い息が零れる。
抱きすくめられたまま背中のジッパーが腰まで下げられて、
ワンピースがするりと簡単に剥がれた。
露出する黒の下着に、黒いストッキング。


「エッチな下着…」
「ぁ…でも…シャワー浴びさせて…」

「いいよ。このままで」
彼が慣れた手付きでホックを外す。

「嫌…駄目…汗かいてるから」
「どうせ汚れるだろ?」


抵抗する私に、彼の目つきが変わった。
「美羽ちゃん…Mだろ」
「え…」


そんなこと、考えたこともなかった。
困惑する私に、見せつけるように彼が舌を伸ばす。

「言われたこと…無い?」

視線を合わせたまま、乳首が舌で弾かれる。

「ぁッ…あああ!」
全身に痺れるような快感が走る。


「動かないで。じっとして…」
両手がベッドに縫い止められる。

「こっち見ててよ。舐めるとこ…見てて」

私は抗らえずに、彼の声に従う。

「ほら…もうこんなに勃ってる…」

固く尖った乳首を淫猥に舌が這い回り、乳輪が唾液で光る。

「ぁ…ぁ」

「気持ちいい?」

「…ぅ…」

「ちゃんと言わなきゃ、判らないよ」

彼が乳首に歯を立てる。
体が跳ね上がる。

「痛い…?気持ちいい?」

彼の言葉に全身の力が抜けて、感覚が研ぎ澄まされていく。
「ぁ…きもち…いい…」


ショーツは、ぬるぬると愛液で滑っていた。
私は太股を摺り合わせながら腰を捩る。

「…ぁ…はやく…」

「何?口で言わなきゃ俺、判らないよ」
舌先で乳首を突きながら、彼が押し殺した声で言う。

「…下も触って欲しいの?」
「…ぁ…」

「ちゃんと口で言って」
「ぁ…っ…く…下も…触って…ぇ…」


黒いストッキングは、下着ごと引きずり下ろされた。
裂かれるかと心配したけれど、帰りのことも考えてくれたのだろう。
丸まったストッキングは足先から抜かれて、私は全裸になった。


「エッチな体してるな」

羞恥と、軽い恐怖で足先が震える。
彼は優しい笑みを浮かべると、背を向けて自分の服を脱ぎ始めた。
背中の隆起が見える。男らしい体。


「脚、開いて」
「ぇ……だめ…嫌ぁっ…!」

秘部を覗き込もうとする彼を脚で蹴って抵抗する。

「…後で見せて貰うからな」
笑いながら彼が覆い被さる。

固いものが腿に擦りつけられて、一瞬我に返る。


「いれる…の…?」
「…こんなに濡らしてるのに…?」

くちゅん。
秘部に触れた指先から、恥ずかしいほどに音が零れて耳に届く。


「おもらししてるみたい…」
耳元で囁きながら、割れ目を指先がゆっくりとなぞる。

クリトリスに、触れるか触れないかの優しい刺激。

「…ひ…ぁ……ぅ…」
とろとろと愛液が溢れ出す。

「まだ出てる。ほら…俺の指、どろどろ・・」



唇が塞がれる。
優しい刺激で膨らんだクリトリスが、びくびくと快感を伝える。

「ぁ…ぅ…きもちいい…」

「どこが…気持ちいいの…?」
唇が触れる距離で甘く誘われる。


「…っ…」
「おまんこ…きもちいいの…?」

「ぁっ…ぁ…おまんこ…きもち…いいっ…」


彼の動きに合わせるように、ゆっくりと腰を揺らす。

彼はわざと音を立ててるように弄ぶ。
ぴちゃぴちゃとクリトリスが指の腹で叩かれる度、悲鳴に似た声が上がる。


「腰、動いてるよ」
「きもちいい…きもち…いいの…」

「ほら…もっと」
「あ!!私…気持ちいい…おまんこきもちいい…の!!」


びくびくと膣の奥が痙攣する。

「…っ…ぅ…ぁ…あ、あ、あ…!!」

指も入れられてないのに、私は達してしまった。





ランキング応援いつも有り難うございます(別窓で開きます)
人気ブログランキングへ

官能小説「零れる月」 友人(3) 


「…いっちゃったの?」

彼が額をくっつけて覗き込む。
羞恥で顔が染まる。


「…ごめん…なさ…い…

「美羽ちゃんは敏感だな。可愛いよ」
彼が、びくびくと震える箇所から指を離す。

「ほらみて」
差し出された彼の手は、手首まで愛液にまみれて。

「いや……」

彼は、視線を逸らそうとする私の前で、その指先を口に含んだ。

「おいし…美羽ちゃんの味がする」
「やめ…」

腕ににすがる私の耳元で彼が呟く。

「もう、俺も我慢できないんだけど」


一度達して、私は少し正気に戻りかけていた。
それでも、熱い高ぶりが腿に押しつけられる。

「嫌ならしない」
凛とした声で彼が言う。

でも、苦笑いの表情はとても苦しげで。


躊躇しながら、高ぶりに指を伸ばす。
そっと握ると、彼の口から熱い息が零れた。

「…触ると我慢できなくなる」
苦しげに呻く彼の高ぶりをゆっくりと扱く。

「…っ…は…」
彼が腰を前後に揺すり始める。

「…く…入れちゃうぞ…」
どんどんと息の荒くなる彼。


「…お口でさせて…」
私の言葉に、彼はびくりとして顔を見た。

「…っ…駄目だよ…」
今度は、彼が腰を引く。

黙ったままで、体を下へと滑らせる。
「今度は私がさせて…」


彼の高ぶりは堅く反り返り、
先端は先走りの液で濡れている。

私は、彼の腰を下から両手で抱え込んで、
びくびくと震えるペニスを口内へと導く。

「…ぅ…ぁっ……」
彼の臭いと味が広がる。少し顔を顰めながら、
それを舐め取るように舌を動かす。

「…っ…み…わちゃ…」

震える腰が、ゆっくりと私の上で動き出して口内を犯す。

「…っ…んっ、くっ…んっ」

苦しくて唾液が零れ出す。
それでも、にじみ出る味にまた体が熱くなって。

「…っ…もっと吸って…ぁ…」

吸い上げると、ペニスがびくびくと震えた。
歯を立てぬように、それだけに神経を使う。

フェラチオの経験があまり無くて、上手くできているか心配だった。
それでも、彼は、気持ちいいと何度も口に出してくれる。
私はその高ぶりに必死で舌を絡める。



喉奥をいきなり突かれた、あの彼とのセックス。
昼間、逢ったばかりの彼のことを思い出す。
私のことを、愛してる、と言った。

いつも吐き出すようなセックスで私を汚す彼。
彼に初めて貫かれてから、私の体は彼の玩具だった。

いつもいつも、嘘をつく彼。
それでも、愛してるなんて一度も口に出したことは無かった。


私は、玩具で良かったのに。
貴方の玩具で良かったのに。

貴方は体だけが望みで。
私は体だけ捧げる。

そうすれば、私も傷つくことがないから。
セックスに溺れている間だけ、貴方のことを、欲して。

それで良かったのに。
抑えている感情。


貴方にとって、玩具で、子供で。
それでも、私は貴方から離れられないのに。



私の感情は、口内に今差し込まれている高ぶりへと注がれる。
彼じゃないペニスに汚されながら、私は零れる滴でシーツを濡らした。

「…っ…出そう…」
彼の呻く声で、意識が戻る。

「ぁ…どこに出したら…」
彼の言葉に、深くペニスを受け入れて吸い上げた。

「…っ…あ!!!」
彼の精が口内で弾ける。

我慢しきれずに腰を動かす彼。
喉奥を突かれて、涙が滲む。

私は、絡みつくその精を、幾度も喉を鳴らして飲み干した。



「彼と別れる気、ないの?」

腕枕に包まれて、微睡みの淵にいた私に彼が声を掛ける。

「…彼…」

一哉の言っているのが同い年の彼のことだと気付くまで、少し時間がかかった。

「うん…」

優しい彼の顔が浮かぶ。
行為の最中、一度も思い出すことの無かった彼。


「私…帰らなきゃ…」
気怠い体を起こす。

一哉は、何も言わなかった。



ホテルから出た二人は、今度こそタクシーを探して歩き始めた。
もう明け方近くて、タクシーはなかなか見つからない。
それでも、二人でゆったりと肩を並べて歩いた。


「美羽ちゃん、連絡先とか…聞いちゃ駄目?」

彼の言葉に、少し迷う。

迷いを察したのか、彼が明るい調子で言う。
「一回だけ電話番号言ってよ。俺が覚えられたら、ってことで」

私は、少し早口で連絡先を告げた。
彼は、何度もぶつぶつと復唱してから、よし、と笑顔を向けた。

「電話、するよ」
「…うん」


やっと見つかったタクシーに、一人で乗り込む。
ミラー越しに、立ちつくしたまま見送る一哉の姿が見えた。



『愛してる』

流れる景色を見つめたまま、彼の言葉を思い出す。
強張った心を、ゆっくりと解くように。


どこに真実があるのか、私には判らない。
ただ、いつも。
私の心を支配するのはあなただけ。


泣くまいと引き結んだ唇が震えて、
見開いたままの瞳から涙が零れた。

ぽたぽたと止めどなく零れる大粒の月。

溺れて溺れて。
私は何処に行ってしまうんだろう。




ランキング応援いつも有り難うございます(別窓で開きます)
人気ブログランキングへ


出会い