FC2ブログ








官能小説「零れる月」 恋人(1) 


「すぐ帰るからちょっと待っててよ」


私を残して、彼が部屋を出ていった。
壁に凭れて膝を抱いた姿勢のまま、初めて入った彼の部屋を見回す。

大学の学生寮。備品の机とベッドの他には、ほとんど何もない狭く長細い部屋。
白かったであろうその壁は、もう煙草のヤニで黄色くくすんで。
隣の部屋のテレビの音だのも筒抜けて聞こえる。

男子寮と女子寮は、互いに異性が入ることを禁じられていたが
彼氏・彼女がこっそり出入りしたりするのをみんな黙認していた。


朝、管理人にさえ見つからなければいい。

それでも、男子寮に忍び込んだことのない私は
部屋に辿り着くまでにかなりの緊張を要した。

何人か、廊下ですれ違った男子は当然のごとく私を見るので
彼の背中に隠れながら、エレベーターのない階段と廊下を早足で歩いた。


つきあい始めてまだ日の浅い彼。
彼とは外でデートを重ねていたが、まだ体の関係はなかった。

誠実で物怖じしない彼。
人付き合いには無頓着で、女性に興味もなさそうな人。

彼に交際を申し込まれたのはちょっと意外だった。


「ごめんごめん。ジュース飲む?」

彼が、下の自販機で買ってきたジュースを抱えて戻ってきた。

「どっちがいい?」

水ものをあまり飲まない私は
あなたのを少し貰うから好きな方を選んで、と言った。

彼は、きつい炭酸の缶を選んだ。


「狭いだろ?でも、なんでも手の届く範囲にあると楽なんだよ」
隣に並んで壁に凭れた彼が、ごく自然に肩に腕を回す。


「ベッドの上、行く?」


狭い部屋の大部分を占めるベッドは、ソファーのような役割も果たしていた。
ソファーにしては固いが、今座っている床よりは居心地が良さそうで。

二人はベッドの上に座り直し
私はカーテンの隙間を広げて、小さなベランダ越しに外を眺めた。

正面に、何棟か同じ建物が見える。女子寮だ。
遠く離れているので、人影も確認できないけれど。


四つん這いの体制で、外を覗いていた私を、彼が背後から抱きすくめてきた。

予想していたこととはいえ、鼓動が跳ね上がる。
彼との体の関係は、まだない。

「……してもいい…?」

「……ここで?」

とりあえず聞いてみる。


何より、薄い壁が気になるのだ。
さっきから、隣のテレビの音だの、賑やかな話し声だので静寂とはほど遠かった。

まだ、時計は9時過ぎ。


彼の手の平が、服の上から乳房に触れる。

「おっぱい…おっきいなぁ…」
「…大きいの…きらい?」
「…ううん。好き」

ゆっくりとした動作で押し倒される。
が、ぎしり、予想外に大きく音を立てたベッドに驚く。

「このベッド…大丈夫?」
「壊れはしないだろ」
「でも…凄い音…」

言葉を遮って、優しいキスで口が塞がれる。


彼の早い鼓動が伝わってくる。
きっと緊張してるんだろう。

同じ年の彼が子供に見える。
私は髪の中に指を潜らせながら、深くなっていくキスを受けた。


服の上から、乳房を揉んでいた彼の手が服にかかる。

「はい、万歳して」

私は、小さく笑い声を立てながら素直に従った。
薄いニットが剥がされて、ピンク色のプラだけになる。

彼は胸の間に顔を埋めると、大きく息を吐いて背中に腕を回した。
ホックが外されて、胸が緩やかに弾む。

「全部見せてよ」
彼が顔を上げて見上げてきた。

「え…恥ずかしいよ…」

それに、此処でセックスに及ぶには勇気が要った。
あまりにも周りに人が多すぎる。


まるで聞こえないふりをするように、ズボンの前がはだけられ
途中まで下ろされたズボンは、彼の片足で引きはがされた。

「…これも」
「…ぇ…ゃ…」

ピンク色のショーツに、あまり視線も送らないまま手が掛けられる。
抵抗する間もなく、ズボンと同じようにあっさりとショーツも剥ぎ取られた。

明るい部屋に、私だけが一糸纏わぬ全裸。
羞恥で顔が染まる。

「すげ…綺麗…」


なめ回すように、全身に視線が注がれる。
ずきり、体の奥が反応する。
身動きもできずに彼の視線を浴びて…

彼が上着とズボンを脱ぎ捨てて、覆い被さってきた。
直接触れ合う肌の熱さに、甘い息が零れる。

胸を摺り合わせるように軽く上下に動きながら、彼は深く唇を合わせる。

「…っ…ンふ…」


激しく絡められる舌。
片手は乳房を持ち上げるように揉みしだいて。

ちゅ…く…ちゅく…


部屋に響く唾液の音。
混ざり合った唾液を啜られながら口内をかき混ぜられて、どんどん上がり出す息。

肌の刺激で、敏感に立ち上がった乳首を、彼は執拗に責めた。

「…ん…ぁ…ぅっ…」

シーツを握りしめながら声をかみ殺す。

「声上げさせてやれなくてごめんな」
優しい声とは裏腹に、乳首が痛いほどに吸われる。

もっと優しく、と声に出しかけたが、その痛みにどこかが敏感に反応する。
不思議な感覚に、私は感覚を集中した。


乳首が赤く腫れ上がって、鋭い痛みが走り抜けてくる。
それでも、やめて、とは何故か言えない。

どんどんと芯が熱くなってくる。


足に擦りつけられている固いものに、指先を伸ばす。
ぎゅ、強く握ると、彼は声を上げた。

反り返ったそれは、長くて固い。
穏やかないつもの顔から、想像も付かない高ぶり。
下半身が、じゅんと湿る感覚。


まだ触れられてないのに… 気恥ずかしくて、握ったものを擦り始める。

「…ッ…は…」

切ない声を上げ始めた彼は、私の茂みに触れた。


ちゅく。
湿った音が部屋に響く。


顔が一気に赤くなる。
零れるほどに濡れているのが自分でも判る。

「…すげ…」

ゆっくりと溢れた割れ目を指がなぞる。
軽く触れられるたびに、音を立てて溢れ出しそうで


「…ぁ…ぁぁぅぅ…ぁ…」

背中に指先を立てながら、甘い刺激を求める。
指先が、その穴に侵入する頃には、ちゅぷちゅぷと淫猥な音に変わって。

「…ん…ぁ…!」


彼の中指が、ずるんと体内に差し込まれる。

抵抗もなく受け入れる体。
指が二本に増える。

「ぁ…ぅっ…あううっ!」

押し広げられる感覚に声が漏れる。


じゅぷじゅぷ… わざと音を立てながら出し入れしていた指は曲げられて
溢れ出す体液を掻き出していく。


「…気持ちいい?…」
「…ぁ・…きもち…い…い…」


彼が乳首に歯を立てる。
体が跳ね上がって、ベッドが軋んだ。
突き刺す指が乱暴になる。

ぐっちゅぐっちゅ… 卑猥な音に意識が遠のきそうになる。


「入れたい…入れていい…?」
彼が耳元で問う。

「でも…ぁ…っ…ゴムは……?」
「さっき、先輩から貰ってきた」
「え?」

一瞬、私も顔見知りの先輩の顔が浮かぶ。

「…ばっ…ばかっ…」

行為に及ぶことが完全にばれている。
恥ずかしさと同時に、無邪気で子供のような彼が愛しく思えてきた。

私から体を離して、ぎこちない様子でコンドームを付け始める。
首を傾げる姿に心配になって、きちんと装着できているか体を起こして一緒に確認した。


「よし、大丈夫」
気恥ずかしそうな表情と目があって、私も可笑しくて笑ってしまう。

固い感触が、ずるりとぬるんだ箇所に押しつけられた。

唇を落としながら、ゆっくりとずり上がってくる彼。
ひくひくと震えながら、私の入り口は高ぶりを飲み込んでいく。


「…ぅ…ぁ、っ…あ…!」

固い先端が、奥を突く。
びくびくと、体の奥がざわめき始める。


「…ぁ…変な感じ…」
「…どんな……?ぁ…凄い締まる…」


ゆっくり腰を動かし始める。
ベッドがぎしぎしと派手な音を立ててきた。


「…ぁっ…ぁ…だめだよ…ばれちゃ…ぅ」


彼が、脱ぎ捨てたTシャツを掴んで、壁とベッドの間に挟んだ。
軋む音が少し小さくなる。

そして、彼の動きが大きくなる。
もうベッドの音など構っていられない様子で、激しく突き入れられる。


「…っ、ひっ…あっ…ぁ…!!」
押し殺していた声も、時折我慢できずに跳ね上がってしまう。


「…いいよ…声出して…」


彼の言葉に、体の奥から波が押し寄せてくるのを感じる。
「…あ、、、、!!!!」


びくんびくん、恐ろしいくらいに膣の奥が痙攣する。
今までに感じたことのない感覚。

「…ぁ……イく…イっちゃ…うかも…わたし…」


必死でしがみつく。
イくという感覚を私はまだ知らずにいた。
びくびくと体の中が躍動する。例えようのない快感。


「イっていい、よ……イって…ぁ…」
更に奥に突き入れられた肉棒が、固い箇所を擦り続ける。


「…ぁ…ぁ…」


掠れて声が出ない。
びくびくとペニスを膣が締め付けるのを感じる。


「…凄い…この締まり…ッ…ぁ…イく…俺もッ…!!」


がつがつと叩き付けられ真っ白になる意識の中、
一番深いところに向けて、彼は精を吐き出した。

びくびく、震えるペニスを膣がどくどくと締め付ける。

「…っ…は…」


汗だくの彼が、体の上に倒れ込んできた。
私の唇は乾いて、びくびくと収縮の続く奥に、がたがたと足が震えている。


「イっちゃったみたい…私…」

彼は、嬉しそうに笑って、繋がったままでまた唇を重ねた。


周りの音に耳を傾けると
隣で聞こえていたはずのテレビの音が聞こえない。
なんだか嫌な予感がしたけれど、変に開き直った心地で炭酸の抜けた缶を受け取って呷った。


「…相性いいみたいね」

派手に乱れた髪のまま呆然と呟いた私を見て、彼はまた、笑った。


■携帯からすぐに見られるアダルト
DMM.ADULT モバイル
■アダルトコミックや官能小説を携帯で読むなら
DMM.ADULT 電子書籍
■携帯からアダルトDVDを安価でレンタル
DMM.ADULT レンタル



ランキング応援いつも有り難うございます(別窓で開きます)
人気ブログランキングへ

官能小説「零れる月」 恋人(2) 


車は、人気のない海水浴場の駐車場で止まる。
満天の星空。真冬の澄んだ空気が綺麗だ。


同い年の彼とのデートは、夜のドライブに定着しつつあった。

大学生という生き物は、夜に活動が活発化する。
自由を覚えたての若者達。
授業のない昼間に体を休めては、夜に娯楽を求めて動き出す。
私もそういう生活に体が馴染んできていた。


彼は、その中でも真面目な方だった。
生活費も、親の援助に頼らずバイト代でまかなっていたし、
夜な夜な飲みに歩くというわけでもない。

遊び慣れていた私にとっては、時折物足りなくも感じたが、
純粋な優しさや人に媚びない態度、まっすぐな彼の一途さに
次第に惹かれ始めていた。

彼は、一言「会いたい」と言うと、好きな麻雀の誘いもあっさり断り
私のためにいくらでも時間を割いてくれた。



車を降りて、煙草をくわえた彼の長い前髪が揺れる。

彼の整った顔立ちが好きだ。
実家に残してきた柴犬のケンを思い出す…
そう言うと、いつも彼は渋い顔をするけれど。


「美羽って泳げるの?」
「ううん。私、運動音痴だもの」
「ふふ…だと思ったよ」

柵に寄っかかって、海を眺めていた彼が可笑しそうに肩を震わせる。

「俺、泳ぎは得意なんだよ。実家が海に近いし」

話しながら、彼の腕が腰に回される。
私も彼の腰に腕を回して、ぴったりと体を寄せた。


彼と長らくセックスはしていなかった。

男子寮の彼の部屋に入り浸るのは気がひけたし、
行為の際の声は両隣に響いているはず。
何よりも派手に揺れるあのベッドが大問題だった。

だからといって、ホテルに行くのは勿体ない、と彼は言う。
私もホテルでのセックスには抵抗があった。
独特の雰囲気が、あの彼との行為を思い起こさせるから。


白い息が重なって、唇が軽く触れ合う。
煙草の味の舌がぬるりと滑り込んできて、私は濃厚に自分の舌を絡めた。


女だって欲情する。

特に、自分を欲している息遣いを感じた時。
私は悪戯な笑みを浮かべて、彼の股間へと指先を伸ばす。
彼のモノは、もうすでに固く、はち切れんばかりにズボンを押し上げていた。
冬の冷たい空気の中で、彼の体が熱い。


「…っふ…溜まってるからなぁ」
思案顔で、彼が視線を下げる。

「私だって溜まってるよ…」
ズボン越しに彼のモノを撫でながら、拗ねた調子で呟いてみる。

「女の子も溜まるの?ふふ。美羽だけじゃない?」
「なによそれ」


「…車でしようか」
背を屈ませた彼が、耳元で囁く。
「おいで。誰もいないよ」


彼が、小さな車の助手席ドアを開く。
座席を最大まで後ろに下げると、背凭れを倒した。
導かれて、シートに体を沿わせ、横たわる。

「誰かに覗かれるんじゃない…?」
「もう二時だし大丈夫だよ」

彼は狭い車内に覆い被さるように詰め入ってくると、ドアを閉めた。


「外から丸見えだな」

周りを気にしつつも、楽しそうに深いキスを繰り返す。
太股を撫で上げる手の平をストッキング越しに感じる。

「…ふ…っ…」
軽く触れられるだけでぞくぞくと体が震える。
指先がショーツに触れると、ぬるりと布越しに滑るのを感じた。

「…もう熱くなってる」

狭い車内で体を動かし、彼はストッキングを脱がせるのに苦労しているようだった。
脱がせ易いようにと腰を上げたりしてみる。

「もう帰るだけだしな」

ぴり。爪先でストッキングが裂かれた。
びりり… 小さな音を立てながら、肌が露出していく。

「…ぁ…ゃだ…」
「したいって言ってよ…」
「…ぁ…した…い…」


ショーツの股布の横から指が侵入してくる。
すでに濡れそぼったそこは、くちゃくちゅと音を立てて。

「えっちだなぁ…美羽は…」

荒い息を上げながら、彼がベルトに手を掛け、自分の高ぶりを取り出す。
「…もう入れていい?俺、、我慢できない」


頷くと、彼は何食わぬ顔をして財布からコンドームを取り出す。

「最初からするつもりだったの…?」
「だって、美羽とセックスしてーもん」

唖然とする私の前で、彼はさっさと装着し終えると、また覆い被さってきた。
ショーツを付けたまま横にずらして、ペニスを濡れた箇所に押しつける。

「…ッ…!」
「…っ…ぁ…はいっちゃ…ぅ…」

少し抵抗を示しながら、ゆっくりとペニスを体が飲み込んでいく。
彼は、窮屈そうに足の位置を変えながら、深い場所へと突き入れてくる。

「ぁ…いい…そこきもち…い」
「どこ…ここ…?」

息を荒げながら、彼の固いものが奥を擦る。
「…っ…ぁっ…あッ…!!」

動きが激しくなり、小さな車がゆらゆらと揺れ出す。


「…んっ…んんっ…!」
腰を上げて、彼のモノを最奥で受け止める。

「…ッは…もう出そう…出る…」
「ぁ…出して出して…私も…い…く…」

「いくぞ…いく…み…わ…」

早くなる動きに、車ごと跳ねるように突き上げられた私は、
応えるように彼の精をびくびくと飲み込んだ。



「ぅわ、窓が真っ白」

熱気で曇った窓を、彼が手の平で拭う。
淫猥な臭いと澱んだ空気が充満する車内で、
繋がったままティッシュを探してごそごそと動いた。

「狭いと足が攣りそうになるな」
後処理をしながら呟く彼に吹き出す。

ズボンを履き終えて、彼がドアを開ける。
真冬の空気が流れ込んで、汗ばんだ体を一気に冷やす。


「風邪ひくなよ」
冷たい空気に心地よさそうに目を細めた彼が、煙草を一本取り出す。

私は、無惨な姿になったストッキングを足首から引き抜きながら、
冷たい空気を胸一杯に吸い込んだ。




ランキング応援いつも有り難うございます(別窓で開きます)
人気ブログランキングへ

官能小説「零れる月」 恋人(3) 


「私…女になっちゃった…」
真っ赤な顔をした彼女が、俯きながら話し始める。


久しぶりに部屋に戻ってきたルームメイト。
彼女は、最近付き合い始めた一つ上の先輩の部屋に入り浸っていた。

少しぽっちゃりめだけれど、綺麗な顔立ち。
高校の時につき合っていた男の子のせいで男性不信だと言っていた。
その彼女が、先輩と知り合ったのは一ヶ月前。


「この人ならね……信用できるって思ったの」

初めてのキスも、その先輩と交わしたらしい。

「あのね、やっぱり最初は痛くて入らなくて…」

どんどん饒舌になっていく彼女。
ぽかんとしている私の前で、キスから行為に至るまでを克明に話し続ける。


大好きな人との初めてのキス。
初めてのセックス。

汚れのない彼女の行為は、とても綺麗に思えて。
私のそれとは全く違うもののように思えた。


「美羽は、最初の人ってどんな人だったの?」

彼女の問いかけに、私は口籠もる。

「美羽ってそういうの全然話さないよね。ま、いいよ。話したくないなら…」


彼女は、また先輩のことを話し始めた。

自分のことは良く喋るけれど、人のことには興味がない。
そんな彼女に時々呆れはしたけれど、
さっぱりとした彼女との生活はとても気楽だった。


「それでね、私…先輩と一緒に暮らそうと思うんだ」
「暮らすって・・・同棲するってこと?」

「うん。部屋代はね、今まで通り半分出すから。
その代わり、親とかから連絡あったら、誤魔化してて欲しいの」

彼女は電話の隣のメモ帳を掴むと、先輩の部屋の電話番号を書きこんだ。
「何かあったら、こっちに連絡して?」


「美羽も。この部屋に良くん連れ込んでいいからね?
こっちに来る前には電話入れるから」

彼女は、私の恋人と面識があった。
勢いに押されるまま、私は彼女の荷造りを手伝う羽目になる。


「足りないものは、いつでも取りにこられるじゃない」
「そうだね」

それでも、彼女の荷物はまるで夜逃げするかのようにどんどんと大きくなっていく。

「なんだか…娘を嫁に出す気分」
呟くと、彼女は声を上げて笑った。


暫くして、部屋の前でクラクションが鳴る。

赤いスポーツタイプの車。
顔だけは知っている先輩に軽く頭を下げる。
運転席の先輩は、にこやかに会釈を返してくれた。


彼女は大荷物を後ろの座席に積み込んで、
幸せそうに助手席に乗り込んだ。

「じゃぁね」

車の中から手を振る彼女を見送る。
そんなに離れた場所に行くわけでもないのに、
走り去る車を眺めるとなんだか寂しくなった。



一人きりになった静かな部屋。
ソファーに埋もれて、メンソールの煙草を一本だけふかす。

心も、体も、時間も。
全てを一人だけに捧げられる彼女が、少しだけ羨ましかった。



「じゃ、これから美羽一人で暮らすの?」

賑わう学食。
この大学の学食は不味いと評判だ。
一緒にコシのないうどんを啜っていた恋人が顔を上げる。

「完全に、じゃないけどね。時々は帰って来るみたいだし」
「ということは…俺も遊びに行けるってことだよな」
「ああ、良くん連れ込んでいいよーって言ってた」
「よし!」

「…なんか…エッチなこと考えた?」
「ち…違う違う」

彼が、咽せそうになりながら必死で否定する。

「美羽、男子寮入りにくいだろ?
俺が行けるなら、もっとゆっくりできるかなって」


確かに男子寮には入り辛かったし、
入ってもなかなか落ち着けるような状況ではない。

夜中のドライブは続いていたけれど、
のんびりと二人でいられる場所はなかなか見つけられずにいた。


「そうだね。ご飯とか、部屋で一緒に食べられるね」
「作ってくれるの?」
「あまり難しいの作れないけど」
「なんでもいいよ。俺、文句言わないから」


嬉しそうな顔。
嘘を付けない彼の表情を穏やかに眺める。

「じゃ、今晩一緒に作って食べようか?」
「今日?いいの?」
「うん。授業終わったら一緒に買い物行こうよ」


初めてのイベントに、私たちは浮き足立っていた。
授業中、彼の頭はずっと今晩のメニューで一杯だったようだ。

恋人との、二人だけの生活。

私は、隣で顔を緩めっ放しの彼の横顔を見つめながら、
それも悪くないな、とぼんやり考えていた。





ランキング応援いつも有り難うございます(別窓で開きます)
人気ブログランキングへ

官能小説「零れる月」 恋人(4) 


私たちは、車を走らせて大きなショッピングセンターへと向かった。


天井の高い、明るくて広い食品売り場。
大学は少し辺鄙なところにあったので、
食料はいつも此処に買い出しに来ていた。


「結局、何が食べたいの?」
「んー、肉食いたいなぁ」
訊ねた私に、まだ空っぽの籠を持った彼が答える。

「…肉?」
私は眉間に皺を寄せる。

ホットプレートで焼き肉とか。
でも、それは料理に入るんだろうか。


「あ、カレーでもいいよ」
定番料理を口に出した彼を、私は軽く睨む。

「…料理できないと思ってるでしょ」
「はは。美羽の作るもんなら、俺、何でも嬉しいよ」


さらりと言い放つ彼の言葉に、少し顔が赤くなる。

彼は、いつもストレートだ。
捻くれた性格の私には、彼の率直さがとても眩しくて。
そして、彼の言葉は素直に信じられる気がした。


「じゃ、シチューにする?ビーフシチュー」
「あ、食いたい」

煮込みものなら、まず失敗することはないだろう。


サラダにする野菜類とシチューのルー、
少し奮発したお肉を籠に入れていく。
部屋には、まだ常備菜が残っている筈。

私は、ビーフシチューにはパンだと思いこんでいたけれど、
彼はご飯がいいと言い張るので、パンを買うのは止めた。

後はデザート。バニラのカップアイスふたつ。



アイスが溶けてしまわないうちにと、
私達は急いで部屋へと向かった。

ピンクの外壁の2LDKのアパート。
殆どの部屋は、大学生で埋まっていた。


「お邪魔しまーす」
彼が、少し緊張した面持ちで玄関ドアから中を覗き込む。

「ちょっと散らかってるかも・・・」
ドアを押さえて、荷物を抱えた彼を部屋へと通す。

「やっぱり女の子の部屋だなぁ」
買い物袋をキッチンに下ろした彼は、きょろきょろと部屋の中を見回す。

「あ、そっちは入っちゃ駄目だよ」
ドアの閉まった部屋。彼女の部屋。

「じゃ、こっちが美羽の部屋?」


ベッドの置いてある小さな部屋を彼は興味深そうに散策している。

「ちょっとー、あんまり覗かないでよ」

少し柔らかくなったアイスを冷凍庫に仕舞いながら声を荒げる。

「はーい」
彼は大人しく私のいるキッチンへと戻ってきた。



「何か、手伝うこと無い?」
野菜を切り始めた私の後ろで、彼は熊のようにウロウロしている。

「気が散るから座ってて」
彼は、叱られた子供のような顔でしぶしぶとソファーに腰掛け、
テレビを見始めた。


私はお肉と野菜を炒め始める。

この間飲んだ赤ワインも残っていたはず。アレも使ってしまおう。
冷蔵庫に放り込んでいた瓶を取り出す。

ちょっと高級な味になるかな。正直、料理には自信がない。


くつくつと音を立て始めたお鍋の横で、
サラダを作り始めようとした時、彼がこちらを向いた。

「エプロン持ってないの?」
「エプロン?持ってるけど…普段付けないよ」
「えー、付けてみてよ」
「もぉ」

面倒だけど、彼のリクエストに応えることにした。

私はクローゼットの奥からエプロンを引っ張り出して身に纏う。
ベージュでカントリー調の柄がついたエプロン。


「これでいい?」
彼の前で、くるりと一回転してみせる。

「もっとエッチなエプロンはないの?フリフリのピンクのとか・・・」
「ないわよ」

私は、不服そうな彼の額を小突くとキッチンへ戻った。


キュウリを真剣な顔で刻み始める。

実家で居る時、あまり料理はしなかった。
彼女と暮らし初めて、それなりに自炊はしていたけれど、
まだ心地よいリズムが刻めるほどの包丁さばきは身に付かない。


「美羽」
不意に後ろから抱きしめられて、びくりとする。

「び…吃驚した。包丁落としそうになったじゃない」

いつの間にか私の背後に回っていた彼。
私の腰に腕を回して、髪に顔を埋めてくる。


「欲情したんじゃないでしょうね?」
「……した」

冗談で言ったのに、真剣な声が耳元で返ってきた。


「美羽…すげぇ好き…」
切ない声に鼓動が上がって、固まったまま包丁を手放す。


彼の熱い手が、エプロンの下のスカートにかかる。

後ろのボタンが外されて、ジッパーが下がる。
スカートは、床にすとんと音を立てて落ちた。




ランキング応援いつも有り難うございます(別窓で開きます)
人気ブログランキングへ

官能小説「零れる月」 恋人(5) 


「これで…エッチな格好になった」

彼が耳に舌を這わせながら、卑猥な手付きで尻肉を揉み上げる。

「…っ…くぅ…ん」
熱い息が耳にかかって身悶える。

「…エッチな美羽が好き」

彼の舌が、ぬるりと耳の中に入る。
籠もる音、ぴちゃぴちゃと出し入れされる舌先に甘く声が漏れた。

「…っ…だめぇ…」
「どうして…?」

彼の手の平がニットの中に侵入して、素肌を滑り上がる。
「駄目?」

プラがずり上げられて乳房が零れた。
「…ぁ…っ」

乱暴に乳房を揉み上げる手の平。
人差し指が乳首へと伸ばされる。

「ひ、ぅっ…!」
「もう立ってるの?」

すでに堅く尖った乳首から、痺れるような快感が走る。


「美羽のエッチ…」
エプロンの下で、両の乳房が揉み上げられる。
背後から揉み上げながら、弄ぶように彼の指先が乳首を転がす。

「ぁっ…ぁ…ぅっ…!!」

びくびくと背が反り返る。
喉元に彼の唇が吸い付く。

「…っ…は…すげーしたい…」


荒くなる息。

『したい』
彼の言葉に反応する体。

乳首から走り抜ける刺激は、びくびくと体の奥を震わせて。
熱く滲んでいく愛液。


両の乳首を、彼が不意に強く指先で摘む。

「ぁ…ぅっ…!!痛っ…!」
「痛くすると…喜ぶよな?美羽…」


優しい声。
それでも、きりきりと乳首が押しつぶされる。

「…ぁ…ぁ…」
甘く切なく上がる声。

「ほら、喜んでる」
彼は、私の体を、反応を見逃さない。


私は、Mなんだろうか。
飛びそうになる意識の中で一哉の言葉を思い出す。



彼の指先が、ショーツ越しに秘部に触れる。

「うわ…びしょびしょ」
「ぁっ…っ…いや…」

私は、恥ずかしくて腰を捩る。
「凄い濡れ方…」

彼は、ショーツを避けて、溶けた部分に指を滑らせる。

「…ぁ…ぁ…りょ…ぅ…」

腰が揺れる。
滑りの良くなった部分を彼の指先が何度も往復する。

「…ちゃんと全部出さなきゃな」
彼が、跪く格好になって、ショーツ越しの臀部に口付ける。


「…ん…ッ」
「あ…!!」

彼の人差し指が体の中に突き立てられる。

ぐちゅぐちゅと音を立ててかき混ぜられて気が遠くなる。
中で折り曲げられた指は、膣壁を擦って。
愛液を掻きだすように何度も出し入れを繰り返す。


「何か…入れるもの」
彼が何かを探している様子に、我に返る。

「ふふ。キュウリとか…入る?」

彼の言葉に蒼くなる。

「入るよな。俺のより細いし」
「やめてやめて…!」

懇願する私に、まな板に手を伸ばし掛けた彼が諦め顔で笑う。

「わかった。キュウリは入れないよ」

ほっと息を吐く。


「これならいいな」
彼が、掛けてあったお玉を手に取る。

「…え?!」
「ほら、お尻突き出して…」


ショーツがずり下ろされる。
私は震える体でシンクにしがみつく。

「脚、開いて」

私は、彼の言うままに、少し脚を開く。
冷たく固い感触が、秘部に触れる。

彼は覗き込む格好で、先の丸まったプラスチックの柄を割れ目に滑らせる。

「・・・入るかな」

まるで、無邪気な実験をしているみたいだ。


ちゅぷ。
愛液の弾ける音が聞こえて、柄の先が入り口を捉える。

「ぁ…っ…あああ…」
体に、少しずつ埋め込まれる異物。

「入ってくよ…美羽…」

ペニスよりも、細くて、無機質な堅さを感じる。

挿入される快感と言うより、
そんなものを受け入れている羞恥心で体の奥が震えた。


ずりずりと少しずつ出し入れが始まる。

「…は…ッ…はぁッ…!」
「はぁ…見えるよ…美羽のおまんこ…」

彼の息がどんどん上がっていく。


私は、見せつけるように腰を上げる。
「はずかし…っ…恥ずかしい…よ…ぅっ」


体の奥を支配する何か。
羞恥心の中で、彼に全てを見られたい衝動に駆られる。

じゅぷ。じゅぷ。音が大きくなっていく。

「泡立ってる…」

彼の感嘆に似た声。
激しくなる出し入れ。

奥を突かれる度に、声が跳ね上がって涙が滲む。


異物が引き抜かれた直後。
彼のものが、乱暴に突き上げてきた。
熱く、大きい高ぶりが、私の体を割り広げる。

「ひぁ…ぅぅっ……!!!」
叫びそうになる口を自分の手の平で塞ぐ。

シンクにしがみつく格好。
立ったままの体勢で、後ろから激しく貫かれる。


「美羽…み…わ…」

譫言のように、何度も何度も名を呼ばれる。
信じられる彼。彼になら、全てを見せてもいい。


「もっと…ぁ…良の…すご……」

深く受け止めるように、腰を突き出す。
奥が貫かれると、苦しさと紙一重の快感に襲われて悲鳴を上げる。


「駄目だ…すぐ…いっちまう」
動きを止めそうになる彼。

「いいの…いい…いっていいから…」
「早く出して…ぇっ…私…いく…いっちゃうぅッ!!」


彼の動きが早く、乱暴になる。
すぐに私の頭の中は真っ白になる。
何度も何度も押し寄せる波。

私の体は、彼の精を受け止めた後も、びくびくと蠢き続けた。



「鍋ごと持ってきてよ」

彼が、机の上に雑誌を置きながら声を掛ける。
煮詰まりすぎて、ほんの少し焦げ臭さ漂うビーフシチュー。


「美味しいよ」
にこにこと、本当に美味しそうに食べてくれる彼。
私は、性欲が満たされたせいか、一向に食欲が沸かない。

「食べないの?」
きょとんとしている彼に、おかわりのシチューを注ぐ。


注ぎながら、お玉を見つめる。
流石に、さっきまで挿していたものではないけれど。
恥ずかしさと可笑しさで、笑いが零れる。

「こういうのも、やっぱりいいな」
「…そうだね」


穏やかで、満たされた時間。
この人となら、きっと…

私は、時計から意識を逸らす。
いつも、貴方の声を待つ、時間帯。




ランキング応援いつも有り難うございます(別窓で開きます)
人気ブログランキングへ


出会い