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官能小説「零れる月」 教師(1) 

私は、いわゆる優等生だった。

要領の良さからそれなりの点数は取れたし、目に見える問題行動もない。
制服だって、規定の白襟のセーラーのネクタイを、ほんの少し短くしたり
スカートを膝上に上げる程度。

ごくごく普通の日常を。
敷かれたレールを踏み外すことなく、幼い私は毎日を過ごしていた。
 
そう。
彼との関係が変わるまでは。


彼は、三十代半ばの数学教師。
進学クラスを受け持つ彼には、奥さんと二人の子供がいた。

文系だった私は、直接彼の授業を受けることはなかったけれど、
ランクが上の大学を狙う為には、理系の強化が必要だと
担任達に勧められるまま、彼の特別補習を受けることになった。


それが彼との付き合いを深めるきっかけになったのだが。


放課後、小さな研究室での二人だけの補習。
乱雑に散らかった本だの、プリントだので、机も埋もれそうな部屋。

最初に意識したのは、いつだっただろう。


一番最初に想い出されるのは、背後から包みこまれた大きな胸。

すっぽりとその腕の中に収まってしまった私は
彼の臭いを吸い込み、彼の鼓動に包まれて
その瞬間に、彼を初めて「男」だと意識してしまったのだと思う。


恋に落ちてからの毎日は楽しかった。


「おい、お前」
口の悪い彼はいつも、私をそう呼んだ。

誰が居ようが、変わらない乱雑な扱いがかえって嬉しくて


狭い部屋で、二人の体の距離は少しずつ、少しずつ、近くなっていく。
放課後の、いつもの補習。いつもの部屋。

その日違ったのは、彼の眼差しだけ。


引き寄せる腕に、視線を上げ
初めて下の名前を呼ばれた瞬間、私は唇を塞がれていた。

煙草の味が混ざった唾液。
貪るようにこじいれられる舌に、息もできない。

でも、突き放すことができぬまま… 背中に腕を回す。

急いた手付きでセーラーの上着が捲られる。
初めて肌に触れる大きくて熱い掌。


プラが露わになる。

躊躇することも許されずに、激しく口付けたままホックが外された。
「…ゃ…」

唇が離れた一瞬
絞り出した声に、一瞬動きが止まる。

「……嫌か?」
低い声、怖いほどの眼差し。


私を欲している、その感覚が体を熱くして頷くことしかできない。

彼は黙って上着を脱ぐと、埃にまみれた床に投げた。
そして、ゆっくりとその上に私を横たえていく。

熱い息が耳元にかかる。
近付いてくる瞳。

まるで、ドラマのワンシーンのように
コマ送りの風景が静かに流れる。


彼が、覆い被さったままネクタイを緩める。
首筋に、ぬちゃり、舌の這う感覚。

「…ひ…っ!!」
夢から覚めたように、声が上がる。

「…っと、声は出すなよ…頼むから」

ドアの方を見遣った彼は私から離れて
廊下の気配を窺うようにしてから鍵を回した。

ゆっくりと閉じられる鍵が、かちりと小さな音を立てる。
その音すら、静かな空間に大袈裟に響いて聞こえた。


体中を、ねとりとした舌が滑っていく。

捲り上げられた上着に、引っかかったプラ。
ワイヤーが擦れて痛い。

「…ぁッ…!!」
ちゅる、卑猥な音を立てて、乳首が唇に挟まれる。

「…っ…ぅ…ぅぅぅっ…!!」
「…声出すな」

低い声に、私は自分の手の甲を噛みしめる。

固く尖った乳首は甘く痺れて
彼は、乱暴に乳房にむしゃぶりつく。

私はただ、染みの付いた天井にぼんやりと視線を泳がせながら
身体の芯が熱くなる感覚に身を任せていた。


少しずつ滑り落ちていく舌。
スカートを捲った熱い掌が、太股に触れる。

一瞬身を固くした私に、彼はまた深く口付けを落とした。


「初めて…だよな…」
一瞬我に返ったような、彼の目の奥に迷いが見える。


「けど…お前、濡れてるぞ」

骨張った指が、乱暴にショーツの中に潜り込む。


「…っ…ぅ…!!!」


唇は塞がれたまま、割り入った腰に震える足は開かれていき
敏感な部分への乱暴な刺激に、声が跳ね上がりそうになる。

抵抗を示しだした体に、どんどんと愛撫は急いていく。


かちゃり。
音を立ててベルトが外された。

赤黒く猛ったものが目に入る。
思わず息を呑む。

参考書の山を忌々しそうに蹴ってから、足の間に体を滑り込ませた彼は
まだ十分に湿らないそこに、片手で支えた高ぶりの先端を押しつけてきた。

「…っ…!!いた…っ…いた……いっ」


痛みで腰が逃げる。
体を引き裂かれる痛み。
異物が侵入する恐怖感。

「力抜いて……くッ……きつ…」


ぽたぽたと、彼の額から落ちる汗が胸を濡らす。


「…っ…だめ…だめ…はいらな…!」


逃げる腰を両手が捉える。
その熱さに息を抜いた瞬間、

ぶつ、、っ


一気に突き刺される。
体の中がはじけ飛ぶ感覚。

鈍く熱い痛みで涙が滲む。


「…ぁ…く……っ」
呻く声とともに、熱く麻痺したそこに向けて高ぶりが容赦なく埋め込まれていく。

「…ッ…く…入った…」
理性の失われた瞳で私の体は奥まで貫かれた。


「…く…はぁっ・…ぁっ」

身体の奥に留まっていたものが少しずつ動き出し、
早さを増しながら、腰が打ち付けられる。

まるで、人形のように跳ねる体を押さえつけ、貪るように口づけを繰り返しながら。

うるみを増した私の体は、高ぶりをきつく締め付けながら熱く痺れていく。
打ち付ける音と、荒い息使いだけが部屋に木霊する。


目の前が霞んで見えない。
ただ、汗ばんだ身体に縋り付き、自分の身体が初めて使われる違和感に耐える。

「…っ…ぁ……ッく……は、ッ…!!!」


激しさと早さを増す動き。
声が出せない代わりに、ぼろぼろと涙が零れた。

苦しげに呻いた彼は、私の限界を悟ったのか
早急な仕草で私の身体からペニスを抜き取り、

片手で扱くと、獣の匂いのそれを私のお腹に弾けさせた。



「とうとう食っちまったよ」


ぎしりと音の鳴る椅子に体を投げ出した彼は、
いつものセブンスターに火を灯すと、いつもの悪びれない声で呟いた。

呆然と床に体を投げ出したままの私に複雑な笑みを向ける。



夕日に染まっていた部屋は、いつの間にか暗く日の落ちた外に取り残されて…

これからの情事の舞台となるのだ。


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官能小説「零れる月」 教師(2) 


教師である彼との関係は、高校を卒業した後も続いていた。


私は元々県外の大学を希望していたが、
彼は地元の大学を私と私の両親に勧めた。

いつの間にか私の進路相談の担当になってしまっていた彼は、
私の両親からの絶大な信頼を得たようだ。
母親はわざわざ彼に会いに何度か学校までやってきた。


私の親と会話を交わしても、表情一つ変えることのない彼。
母親は、「良い先生だね」としきりに褒めたが、
放課後、娘の腰に彼の腕が回されていることなど、勿論知らない。

母親と別れた直後でも、彼は当然のように私を抱いた。


数学の点数は飛躍的に上がった。
彼の教え方が上手だという理由もあったけれど、
点数が落ちて怪しまれることを恐れた私は
一人の時もせっせと理系の強化に努めた。


彼の勧めるままに、私は地元で一番良い大学に進学し、
近くにいて欲しいと望んでいた家族はみんな喜んだ。

大学は実家からは少し遠く通学には不便だったので、
結局友人との共同生活を選んだが、
彼からは二週間に一度くらい連絡があった。


いつも、電話がかかってくるのは夜の10時過ぎ。

「これから迎えに行く」

私は言われるままに、部屋から少し離れた人気のない道で彼を待ち、
ほとんど会話もないまま、車はいつものホテルへと向かうのだ。


「教師と教え子」
その関係は、大学を卒業することで放たれたが、
彼に家庭があることには変わりない。


「嫁さんとはもうなにもないよ。抱くのはおまえだけだ」

いつも行為の際に、彼は同じことを言った。
私は、彼の熱さに包まれながら、ほんの少しの優越感を感じ…
私は求められている、そう信じ込もうとしていた。
たとえ、結ばれることが無くても。


それなりに、大学生活は楽しかった。

年の近い何人かと関係も持ったし、優しい彼もできた。
家庭のある彼と… などとは考えないようにした。
感情を出せば、ますます子供に見られてしまいそうで。
私への想いを確かめたくても、言葉にすることなど到底できない。


確かなのは、肌の温もりだけ。

行為の時には、私だけを求めてくれる。
いつも、愛撫もそこそこに突き入れてくる彼のものを受け止めながら、
私はやり場のない想いを抱えていた。


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官能小説「零れる月」 教師(3) 


「ああ、そうそう、担任。奥さんまた妊娠したんだって」


手にしたカップを落としそうになる。
久しぶりに会った幼なじみ。彼女は彼のクラスだった。

「美羽は担任と仲良かったよね。もう年なのにさぁ、
やっぱ、やることやって頑張ってるんだねぇ」

喫茶店のBGMがやたら耳障りで、指先が震える。

「三人目だっけ?先週、担任に用事があってガッコに行ったのよ。
そしたら、その話題で職員室盛り上がってて…」


彼とは、三日前に会ったばかりだ。

いつものように迎えに来て、いつものホテルで行為を済ませて。
そして、私は何も、聞いていない。


「妻とは何もないよ」
「抱くのはおまえだけ」

彼から何度も聞いた台詞が頭をぐるぐると回る。
足元から、すべてが崩れ去ってしまうような感覚。
私は、会話もそこそこに彼女と別れた。



「今から迎えに行く。用事無いだろ?」

彼から電話がかかってきたのはその三日後だった。

私から連絡を取ることは、できない。
受話器から彼の声を聞いた瞬間、心臓が張り裂けるような心地だった。


私は、いつもの闇の中で彼の車を待った。
鼓動の方が大きく響きそうなくらい、静かな夜。

「よぉ」

白い車に乗り込むと、彼はいつものようにちょっと笑った。
答えない私を、いぶかしげに覗き込む。

「どうした。顔色悪いぞ」
「…ねぇ、奥さん…妊娠したの?」
「…誰から聞いた?」

沈黙に包まれたままで、車はいつもの道を走り続ける。
私は、それ以上何も言わずに流れる景色を眺めて…
時折、言葉も発しない表情も変えない、彼の横顔を盗み見た。


ホテルの駐車場に車が止まる。
「今日はしたくない…」
降りようとする彼に、小さな声で呟く。
彼は一瞬動きを止めたが、運転席から降りてさっさとドアを閉めてしまった。
私は膝の上で震える両手を握りしめ、俯いたまま動けない。


が、すぐに乱暴に助手席が開いて、彼に腕を掴まれた。

「…いいから来い」
低い声に驚いて顔を上げる。
こんな彼の声を聞くのは、初めてだ。


腕を掴まれたまま、よろよろといつもの廊下を歩く。
古いホテル。薄暗い照明。
初めて来たときは、ドアの鍵もうまく閉まらなかった。
慣れた手付きで、彼がドアを開ける。
オレンジ色に澱んだ部屋。


「…ぁっ…!」
乱暴に部屋に引きずり込まれて声を上げた。
両手首を掴まれて、そのまま壁に押しつけられる。
見下げる視線に顔が上げられないまま、涙がぼろぼろと零れて。

「嘘ばっかり…いつも嘘ばっかり…」
「…うるせぇよ」


低く、冷たい声が間近で聞こえる。
乱暴に唇を塞がれて、スカートがたくし上げられた。

「…いや……」
いつもとは違った様子に、怖くなって体を捩る。
立った姿勢のまま、足の間に膝が割り入れられる。

「…なにが嫌、なんだ」
膝で犯すように私の体を突き上げながら、舌は首筋を舐め回していく。
「こんないやらしい体してるくせに…」


彼は、屈んでショーツを一気に引きずり下ろした。
いつもと全く違う彼の言葉に、動作に戸惑う。
「…ゃ…シャワー浴びてな…!」

片足が、屈んだ彼の肩に上げられて声を上げる。
開かれた茂みの中に彼の頭が沈んでいくのが見える。


「もう…濡らしてんじゃねぇの…?」
くぐもった声が聞こえる。

ぴちゅ、熱いざらざらとした舌が開かれた秘部をとらえた。

「…ひ…ぅぅッ…!」
じゅ・・る・・卑猥な音を立てながら、彼は執拗に舐め立てる。

「やめ…やめ…て…ぇ…」
足ががくがく震えて、涙が滲んで。


「…なぁ、俺以外のもくわえてんだろ…」

顔を上げた彼と視線が合って、ずきりと体の奥が跳ねる。
指先で、ひだが開かれて・・・ぬぷりと舌先が差し込まれる。

「ッ…は……なぁ…このまんこ…
他の男のちんぽもくわえてんだろって…聞いてンだよ」
「……い…ゃ…ぁ…いやぁ…ッ」


体の奥が熱くなって、淫猥な臭いが鼻をつく。
唾液と愛液が混ざって、どろどろと太股を伝い
切ない甘い声が零れて、貪る頭をかき混ぜる。

「ここは…俺のモンだろ…なぁ」
指が二本、一気に差し込まれて体が跳ねる。

「ぁ…!!!ひ…ぅぁ!!」
じゅぷじゅぷと、愛液が泡立つほどに出し入れされて、立っていられない。


「だめ…もう…たてな…」
崩れ落ちる私の体から、彼は離れ…
顔を上げた途端、彼の猛ったものが口内に突き刺された。

「…ふ…ぐっ…!!」
「…っは…っ…舐めろよ…」

彼の臭いが広がる。
喉奥まで差し込まれる苦しみで、また涙が滲む。

「…っ…んぁふ…」
「美羽……ぁ、み…わ…」


私のどこかがはじけ飛ぶ。

必死で舌を這わせて、唾液を絡みつける。
滲む彼の液を啜り、喉を鳴らす。
体の芯まで熱く火照って、固く反り上がったもので
口内を突き犯される度に、とろとろと愛液が零れた。


「…ぁ…ふっ…あんんっ…んぁ…ふ」
ペニスを締め上げながら、頭を前後に動かす。

この猛りが、愛しくて堪らなくて。
切ない声を漏らす彼が、愛しくて堪らなくて。


口からペニスを引き抜いた彼は、私の体を倒し、そのまま私を貫いた。

「…ひっ!!ぁっ…ああああっ…!!!」

今まで上げたことがない、悲鳴にも似た声が上がる。


「声出せよ…みわ…」

声で責め立てながら、突き上げられる。
ぐちゅぐちゅと接合部が湿った音を立てる。


「…ぁ………ゆ…裕介…さ…ぁ」

名を呼びながら、彼の背中に爪を立てて腰を揺らす。
もっと奥に、もっと奥に。体の奥が欲して。


「…み…わ……」
「お前は俺のモノ…だ…く…ぅ…ッ…!!」

高ぶりが跳ねて、白濁が体の奥に注がれる。

私は、獣のような叫び声を上げながら、
彼との行為で初めて絶頂に達した。



二人は乱れた着衣のまま息を荒げて、しばらく床に倒れ込んでいた。

精液がとろとろと少しずつ流れ出す感触を感じる。
避妊することなどすっかり忘れていた。

生理間近なことを頭の中で確認してほっとしながら、
精液を流し込まれた感覚を思いだし、また膣の奥がぴくぴくと震えた。


「…さ…て」

彼が体を起こしかけて、私はびくりと身を固くした。
いつも行為が終わると、私たちはすぐにホテルを後にする。


もう少し余韻に浸っていたい。
彼の精をこのまま体に留めていたい。

でも、それは許されないこと。
現実に戻ったが、頭の中は不思議なほどに落ち着いていた。


「寝るぞ」
「…え?」

言葉が飲み込めなくて、彼の顔を見上げる。

「学校に泊まったことにする。有り得ねぇけど」


彼が横抱きに私の体を抱え上げようとするのに、慌てて首に腕を回す。

「あっ…ぁっ、重く…ない?」
「ほんっとに重い。老体には堪える」


意地悪な笑みに、微笑みを返す。
初めて包まれる彼の腕枕と、冷たく心地良いシーツの感触に


私は、静かに満たされて目を閉じた。


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官能小説「零れる月」 教師(4) 


「あ。そうだ、同窓会の通知来たか?」

いつものホテル。ぶ厚いカーテンが掛かったオレンジ色の部屋。
行為を終えて一呼吸置いた彼が、煙草を探しながら口を開く。


「来たよ。あなたのクラスと合同でするみたいね」

私は彼の担任するクラスではなかったが
合同補習の多かった進学クラスは、生徒同士も密な関係を築いていた。


「美枝子が張り切ってたよ。地元だからって…
私も幹事に引きずり込まれそうになったけど」

「ふぅん。んな楽しいもんなのかね。
ま。まだ二年だし、集まりがいいかもな」
眉間に軽く皺を寄せた彼が、煙草に火を付ける。


「で、お前行くの?」
「行くつもりだけど…行っちゃ駄目なの?」

「だって、お前の顔見て勃っちまったらどーすんの。くく…」
「……馬鹿」


最近の彼は良く喋る。
フィルターギリギリまで吸った煙草を灰皿に押しつけると
またベッドの中に潜り込んできた。
行為の後でまだ気怠い私の胸に、甘えるように顔を埋めてくる。

まるで、子供みたいだ。



同窓会の会場は、海沿いの小さなホテルだった。

卒業してから二年。皆、それほど変わってはいないけれど、
都会に出ていた友人達はどこか垢抜けたりしていて。
受付のある広いフロアは、明るく賑やかな声で溢れていた。


私は、黒地にピンクのプリントを施したシンプルなワンピース。
友人と一緒にコートを預けていると、彼がやってきた。


白いニットにジャケット。
ノーネクタイのラフな姿。
いつもよりも若く見えるその姿に違和感を感じて、視線が釘付けになる。


私は、スーツ姿以外の彼を見たことがないのだ。

卒業してからも、彼は学校での業務を終えた後、
そのままの姿で私を迎えに来ていた。

二人逢うのは、いつも暗闇の中で。
二人でどこか食事に出かけたこともなければ、
昼間に肩を並べて歩いたこともない。


陽の光の中での彼は別人に見えて
私と彼との距離を遠ざける気がした。


彼との逢瀬、唇にかかる吐息。すべては夢の中の出来事…
皆に囲まれる彼の姿を見つめながら、
ぼんやりと一人取り残された心地になる。


囲まれながら受付を済ませた彼が、私の方へと近付いてきた。
咄嗟に視線を逸らして背を向ける。締め付けられた胸が苦しい。


「よ。元気だったか?」
背後からの声。

頭に大きな手の平が乗せられて、びくりとする。
いつもの声。
その顔を振り返ると、私は精一杯の笑顔を作ってみせた。


「先生。お久しぶりです」

視線を合わせると、彼の表情が少し緩んだ。
胸の奥がずきりと痛む。


「お、小倉。生きてたのか」
彼は肩に軽く触れると私から離れ、また違う人の輪へと向かった。


触れられた箇所が熱い。
鼓動が早くなって涙が滲みそうになる。


私は彼の背中を視線で追いながら、此処に来たことを後悔し始めていた。





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官能小説「零れる月」 教師(5) 


私は、友人達とうわの空で会話しながら、
温くなったビールをちびちびと飲んでいた。


大きな窓から、陽の差し込む割と広い会場。
小さなステージと、七、八人くらいが囲める丸いテーブルがいくつか。
壁伝いには、バイキング形式のちょっとした料理やデザート類が並べられている。


卒業してからまだ二年ということもあって出席率は高く、
皆それぞれの近況話で盛り上がっていた。


ちらりと視線を遣る。
二つ向こうのテーブルで彼が赤い顔をしている。
相当飲まされているみたいだ。


なんだかんだ言いながら、やはり教え子は可愛いらしい。

彼は、クラスの生徒の名を、渡された名簿を殆ど見ることもないまま
ステージで呼び上げると、一人一人に思い出話を付け加えた。
皆、担任が自分を覚えてくれていたことが嬉しかったようだ。


在学中、厳しかった彼の評価は二分していたけれど、
それぞれに希望する進路へ導いたのも彼。

彼は、何年も進学クラスを担当する評価の高い教師だった。
きっと将来も約束されているんだろう。
彼の父親もどこかの校長だったと噂に聞いたことがある。

その分、色々な雑務でいつも忙しそうではあったが、
その不規則で慌ただしい生活に、私たちの逢瀬は上手く紛れ込んでいたのだ。


「よぅ、飲んでるかぁ」
彼がひょこりと私の背後から首を出した。

「わぁ、佐伯せんせー!飲んで飲んでー」
友人達が、放置されて汗をかいた瓶ビールを掴んで彼に詰め寄る。

「う、もぅ勘弁してくれよ」
注がれるビールを苦痛そうに見遣る彼。

「一杯だけな、ほら見ろ。お前達が飲ませるから腹が出て…」
「お腹が出てるのは中年太りでしょー」
「うるせぇ」

「ほら、美羽も注いであげなよ」
友人から瓶が手渡される。

「いつも佐伯先生と美羽、いちゃいちゃしてたじゃない」


「…っふ…!!」
彼がビールを吹きそうになって身を屈めた。
私も、瓶を持ったままの姿勢で固まる。

「だって、先生。補習の時、いつも美羽ばっか当ててたもんねぇ」


…ああ、そういうことか。

冗談で流された会話に、へなへなと力が抜けそうになる。
放課後の二人の逢瀬を思い出して心臓が止まりそうになった。
アレがばれたなら、きっと彼は学校にはいられない筈。


「ふはは。美羽は俺のお気に入りだったからな」
軽い調子に戻った彼が、私の肩に腕を回す。

「あ、せんせー、セクハラだよー!」
きゃいきゃいと黄色い声が上がる中で、私は石のように固まったままでいた。



ざわめく会場を抜けてトイレに向かおうとすると、
彼がロビーの隅のソファーに体を投げ出し、一人で煙草を吸っていた。

近付こうか躊躇っている私の姿を見つけて、こっち、と手招く。
私は、周りを気にしつつも、おずおずと彼の傍に歩みを進めた。


「さっきは吃驚したな…」
小声で彼が可笑しそうに呟く。

「心臓止まりそうになったわよ」
まだどきどきが収まらない。

「…色んなこと、思い出したよ」


彼が顔を上げる。目の前に立ったままの私と視線が合う。
笑っているのか、哀しんでいるのか、色んな感情が交ざった複雑な顔。


彼は立ち上がって、階段ホールの方へ向かった。
会場からは死角になっているが、開け放たれた会場からは賑やかな笑い声が聞こえる。
私は、無言で彼の後を追う。


「キスしたくなった」

彼が、私の腰を引き寄せて上を向かせる。

「ちょっと…せんせ…」
「先生、、か…」

言葉を飲み込むように深く唇が合わせられる。貪るようなキス。

「…っ…ぁ…ん」


ちゅ、くん、絡み合う唾液を飲み干す。

両の手の平が背中を滑り落ちて、尻肉を掴み上げる。

私は小さく声を上げる。
ずり上がったショーツが秘部を刺激して。


「お前見ると勃っちまうな。やっぱり・・・」

固くなったものを、ズボン越しに擦りつけてくる。
きゅん、体の奥が熱くなって、応えるように溢れ出してくるのが判る。

「…っ…酔ってるの…?」
「酔ってない」


また合わせた唇から、まるで犯すように乱暴に舌が入り込んでくる。
足が小刻みに震えて、背中にしがみつく。
談笑する声が、近くに、遠くに聞こえて。


「…誰か来ちゃう…よ…」
崩れそうになる理性を呼び起こす。

「美羽…」
「…なに?」

「愛してる」


私は、トイレの洗面台の前で呆然と立ちつくしていた。
鏡の中には、蒼白い私の顔。

滲んだ口紅をゆるゆるとひき直しながら、
彼の唇に残ってはいないかとぼんやり心配した。


きっと、何よりも欲しかった言葉。
それなのに、それなのに。

私は、感情と共に彼の言葉を深いところへと押し遣った。


これは、夢の中の台詞。

まるで水の底から地上を見上げるような、不思議な感覚に囚われながら
彼の温もりの残る体を、鏡の前で静かに抱きしめた。




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