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官能小説「零れる月」 教師(6) 


一哉からは、次の日に早速電話がかかってきた。


「番号、しっかり覚えてたのね…」
「当然。残念でした」

明るい声が聞こえて、ほっとする。
彼との縁を失わずに済んだことにも、
どこかで安堵していたのかもしれない。


「今、大丈夫?彼氏とか来てないの?」
「うん。私、友達と一緒に住んでるから」
「そうなんだ。よかった…友達出てたら、俺間違えたと思って切っちゃってたよ」

そのルームメイトも、最近付き合い始めた彼の家に入り浸って
なかなか帰ってこなくなっていた。

「何してたの?」
「ああ、お風呂入ろうかと思って」

時計は、夜の9時を回ったところ。
私はリモコンに手を伸ばして、付けっ放しだったテレビを消した。


「そうか…なんか妄想しそうだな」

夢の中のような逢瀬が思い出される。

「あれから、ちゃんと無事に帰れたようで良かったよ」

私は、慌てて他の会話にすり替える。
まだ生々しく残る彼の感触。
思い出さない方が良い気がした。


「また逢える?俺、逢いたいんだけど」
他愛ない会話が止まると、彼ははっきりとした口調で言った。

「…しばらく忙しいから、また連絡する」
私は、彼の番号を書き留めて、静かに受話器を置いた。


小さなソファーに体を沈める。
まだ、意識が浮遊している感じ。

中途半端に汚された体。
最後まで抱かれていたら…少しは楽だったんだろうか。


ぼんやりと視線を天井に彷徨わせていると、また電話が鳴った。

「もしもし」
「美羽か?俺」

その声に、鼓動が跳ね上がる。

「先生?今、学校?」
震える声を悟られないように、受話器を握り直す。

「ああ、今日は逢えそうにないな」

電話の向こうで、椅子が軋む音。
彼が背伸びする様子が窺える。


逢えそうにない?
私は、彼の言葉にきょとんとする。

いつも、そんなことで電話はかかってこない。
電話を掛けてくる時は、彼の都合による突然の逢瀬の誘いだけで。


「どうかしたの…?」
「美羽の声が聞きたかったんだよ」

聞き慣れない言葉に、胸が締め付けられる。

「先生…変…」
「お前、先生先生言うな。まだ同窓会やってんのか」

不審がる私に、彼の可笑しそうな声が届く。


「ちゃんと大人しく帰ったんだろうな」
「え…あ、うん。二次会までは行ったけど…」

一哉とのことは勿論言えない。
鼓動が聞こえそうなほどに大きくなる。


「そうか。今、一人?」
「うん」

「抱きてぇよ…」

彼の言葉に、敏感に体が反応する。

私は震える体を鎮めるように、ソファーに座り直す。

「私用電話、大丈夫なの?」
「お前、最近母親っぽいぞ」

吹き出す声。
椅子に腰掛けた彼の姿。吐息を間近に感じる。


「なぁ…」
彼の声が低くなる。

「お前のこと考えると勃っちまうんだよ」
「…そんなこと…」
「今も勃ってる」


記憶が戻っていく。
彼と逢瀬を重ねた、狭い研究室。

今も、書類やら参考書やらで足の踏み場もないんだろうか。
差し込む夕日。被さってくる、影。


「覚えてるか…?此処で抱いてた時のこと」
「…覚えてるよ…」

忘れるはずがない。
彼と重ねた時、鼓動。
入り込んでくる堅さも。


「美羽…服脱げよ。全部」

「え、何…今?」
「早くしろ」

彼の声に押されて、戸惑いながら服に手を掛ける。

「どんな下着付けてんの。今」
「…今日はピンクの…」

消え入りそうな声で答える。
部屋の中で一人裸になるのは恥ずかしくて躊躇われた。


「俺の指、覚えてるよな」
「…うん…」

大きな手、乱暴な愛撫。

「聞いててやる。一人でしてみな」
「え…」


「ほら、脚開けよ。私用電話はいけないんだろ?」

急かすような口調。
私は、指先をショーツへと伸ばす。


「もう濡れてるんじゃねぇの」
「…ぁ…」

ショーツ越しに割れ目をなぞる。

「ほら、それは俺の指。声出せよ」
「…いや…はずかし…」
「美羽」
「…っ…ぅ…」


熱に浮かされたように指先を滑らせる。
ショーツに染みが広がる。

「…っ…は…ッ」
「濡れてきただろ。おまえのはすぐぐしょぐしょになるから」

「そ…んな…ぅ・…」
「気持ちいいって言え。ちんぽやらねーぞ」

「ぁっ…ぁ…きもち…い……ッ」


ぬるりと愛液が零れてくる。
ショーツ越しに堅くなったクリトリスが擦れる。
甘い声が漏れる。


「ぐちょぐちょのとこ、かき混ぜて音聞かせろよ、なぁ」

彼の息が上がっていくのを感じる。

「ぁ…んっ…く…裕介さ…ぁ…」
「美羽…俺も扱いてるから…ちゃんと声出せ」


切なそうな声に、体が熱くなる。

「裕介…さんの…欲しい…欲しい」
指先がちゃぷちゃぷと音を立てて、脚が開く。

「…ッ…はっ…音聞かせろ。もっと…」


受話器を沸き出す箇所に近づける。

ちゅく、ちゃぷ…淫猥な音が響く。


「いやらしいな…お前は……はッ」
彼の熱い息がかかる。

「ね…ぇ…犯して…犯して」


体が熱くてたまらない。
弄る指が激しくなる。

「あなたのもの…なの…ねぇ…」
自分が何を言ってるのか、もう判らない。


意識が朦朧とする。
びくびくと震える入り口。
愛液は臀部を伝ってソファーを濡らして。


「…っ…は…みわ…入れるぞ…」

呻くような声。
私は、蠢く中に指先を突き入れる。

「…っ…ああああっ!!」

じゅぷじゅぷと愛液が泡立つ音が聞こえる。


もう、それは私の指ではない。
焦がれて焦がれて、求める彼のペニス。


「ぁ…ん…いっちゃう…裕介さんっ…いっちゃう…よぉ」

「っ…は…中に出してやる…全部出してやる」

「出して…出して…あなたの…体なの」

「ああ…お前は…お前は俺のモノだ……!!」



受話器は汗と愛液でずるずると滑って、押しつけていた耳が痛む。

「…っ…はぁ…はぁ…」
彼の荒い息遣いが遠くに聞こえる。

「…ちゃんといったか…?」
「…う…ん…」

「俺も出しちまったよ」


胸がきゅんと締め付けられる。
私で出してくれたのが嬉しい。
私を感じてくれたのが嬉しい。


「裕介さん…」
満たされた気持ちで、ゆっくりと名を呼ぶ。

「くく… 先生、は止めたのか」

茶化す声に少しむっとする。

「佐伯先生、ちゃんとお仕事してください」
「へいへい」

かちり。ライターの音。

「今度はちゃんと抱きに行く」

煙草をくわえた彼の声。

「…うん…」


早く抱きに来て。

通話の切れた受話器を握りしめる。
乱れた衣服。淫猥な臭いの立ちこめる部屋。



私は…汚されたいのかもしれない。


愛液にまみれた指先を、そっと口に含む。
そのまま、気怠い体を引きずるようにバスルームへと向かった。



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官能小説「零れる月」 (教師7) 


車内には沈黙が流れていた。


私はただ、暗闇の中を行き過ぎる景色をぼんやりと見つめる。
いつものホテルへと続く道。
部屋に残してきた恋人のことが頭をよぎる。


これは裏切りだ。

さっきまでは、満たされた思いだったのに。
結局は安息の場所よりもこの人を選んでしまう自分。
いつも残るものは、虚しさだけなのに。


彼は、言葉も発さずに前を見据えたまま。

私はいつかのようにその横顔を盗み見る。
最近は、車内でも口数が増えてきた彼。
なのに、今日は一言も口をきかない。


「…彼氏はどうした」
突然破られた沈黙にぴくりと肩が跳ね上がる。

「…もう帰った」
私は、少し考えてから小さな声で答える。

「そうか」
それきり、また彼は口を噤んでしまった。

口に出しかけた言葉を、飲み込む。



「シャワー、浴びてきていい?」

いつもの、オレンジ色の澱んだ部屋。
ベッドに座って、スーツの上着に手を掛ける彼に声を掛ける。

「いいから、座れよ」

彼の脱いだ上着が、窓際の椅子の方へと放り投げられる。
私はそれを見遣りながら、彼の隣に少し距離を空けて腰掛けた。


彼は、何か考え込んだ表情のまま動こうとしない。
いつもなら、そのままベッドに押し倒される筈なのに。


「恨んでいいぞ」
「え?」

息を吐き出すのと同時に彼が呟く。
私は、彼の言葉の意味がわからなくて顔を見つめる。

「お前には恨まれてやるよ」

まるで自嘲するかのような笑み。
大きな手の平が頭に置かれて、くしゃくしゃと私の髪をかき混ぜた。


「さ、どうすっか」
明るい調子で彼が言う。

「わりぃな。なんか萎えちまって…折角来てくれたのにな」


どうして、そんな風に寂しそうに笑うんだろう。
私は、不思議な感覚にとらわれる。

18も年の離れた彼。
その彼が時々子供に見える。



おずおずと伸ばした腕。

窺うように、彼の身体にその腕を回す。
包み込むように、そっと。

彼は、そのまま動かない。


「ごめんな…」
聞き取れないほどの、小さな声。

「俺だって、判ってンだよ」


怯えるように震える鼓動。
彼の吐息が、私の髪を揺らす。


「もう、終わりにするか…?」

思わず彼の顔を見上げる。


「もう…いらないの?」
「ふ。そうじゃなくて」

彼が、困った顔で笑む。


「俺に付き合うのも、疲れただろ」

彼の指先が、ゆるゆると髪を梳き始める。



私は震える指で、彼の身体にしがみつく。

彼との逢瀬は、許されない遊戯だ。

彼が、この身体に。この遊びに飽きたら終わり。
結ばれることのない、契約にも似た繋がり。

そして、私はそれを受け入れた。


この人を失っても、私には幸せな日常が残される。
むしろ、この人を失わない限り私に安息はないのかもしれない。



彼の手が、遠慮がちに私の背を撫でる。
胸に顔を押しつけたまま、その鼓動を確かめる。

一体、どれが本当の彼の姿なんだろう。

玩具のように扱う冷たい眼差し。
時折見せる、子供のような表情。



…私は、この人に愛されたいんだ。

初めて抱かれたあの日から。ずっとずっと。
逆らえなかったのは、彼にではなく、きっと自分の感情。


「…愛してる」
彼のはっきりとした声が、耳に届く。


聞いてはならない台詞。
聞けば、私の中のバランスが崩れてしまうから。

でも、きっと。
私がこの世で一番欲しているものは…


「…抱いて…」
震える唇から泣き声が零れる。


息が止まるほど、強く、強く。

抱きしめられた腕に、私の意識はまた、浮遊する。




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官能小説「零れる月」 教師(8) 


彼の唇が、ゆっくりと私の唇を食む。


吐息は、彼に飲み込まれる。
彼の荒い息遣いも、私の中に注ぎ込まれていく。

息をするのももどかしそうに、
彼の唇は角度を変えながら深く落とされて。


私の涙に濡れた頬を、拭うように彼の指が滑る。

強く引き寄せられた腰と塞がれた唇。
苦しくて息ができない。

遠のきそうになる意識の中で、私も彼の熱さを求めて唇を開く。


ちゅぷちゅくと音を立てて絡められる舌。

口内の壁を擦りあげ、彼の唾液が流し込まれる。
舌を吸い上げられて、飲み干すことのできない滴は口元から零れて。
濡れた箇所が絡み合う熱さに、体が溶けてしまいそうだ。


もっと、もっと。彼に求めて欲しい。

私は彼のネクタイに指先を伸ばす。
それを合図のように、二人は抱き合って繋がったままベッドに倒れ込んだ。


彼はいつもよりもゆっくりと時間をかけて、私の衣服を脱がしていく。

露わになっていく肌に、唇が滑る。
私は、微かな刺激にも息を呑む。
自然に絡み合う指先。



いつもの叩き付けるような抱き方ではない。

愛撫もそこそこに突き入れるだけのセックス。
私は、それに慣れきっていた。
この人は、こんな抱き方しかできないのだと思いこんでいた。


なのに。

彼の舌先は、触れるだけで声が上がる全ての箇所を知り尽くしていて。
私は、翻弄されるままに甘く啼き声を上げる。


「美羽…」
何度も名を呼ばれる。

呼ばれるたびに、その指を強く握り返す。


尖った乳首に、唾液が執拗に落とされて絡められる。
ぬるぬると焦らすように、舌が乳首の周りを這い回る。


「ぁっ…ぁ…!」
背がしなって、身体が浮き上がる。

「…気持ちいいか?」
彼の押し殺した声が聞こえる。

「あ…いい…きもち…いい…」
「もっと…声、聞かせてくれよ。美羽」


彼が乳首に歯を立てる。

「ひ…ぅあっ!」
引きつった足先がシーツを掻く。


全裸になった私の上で、彼がネクタイを緩める。

私は、震える指をボタンへと伸ばす。
上手く外せないでいる私の手を彼が一瞬強く握った。


顔を見上げる。
真っ直ぐに見据える瞳。

少し笑みを浮かべながら、彼がワイシャツを脱ぎ捨てる。
急くようにベルトを外し、彼もまた全裸になる。


二人の熱い胸が重なって、ゆっくりと息を吐く。

この、私の全てが安定する感じ。
私は、いつもこの熱さを求めているのだ。


肌をぴったりと寄せ合ったまま唇を重ね、
お互いの唾液を貪るように飲み干す。

彼の固く熱い高ぶりの先から零れたものが、私の腿を濡らす。


私のそこは、もうとろとろと溢れ出して熔けて。
その入り口は、舌を絡めるたびにぴくぴくと震え出している。

彼の指先がそこへと滑り落ちる時には、
溺れてしまいそうなぐらいに濡れそぼり、溢れかえっていた。


ちゃぷ。じゅく。
卑猥な音を遠い意識の中で聞く。


「美羽…お前のまんこ、どろどろ」
唇の傍で、彼が囁く。

私は、求めるように身体を開く。
「もっと…もっとどろどろに…して…」

私の呻くような声に、彼のスイッチが切り替わる。


「もっと?こんなに濡らして…淫乱な女…」
「なぁ…誰がこんな風にしたんだ」

執拗に責め立てながら、彼の息が荒くなるのを感じる。
「ああ、、裕介さ…」


「此処は誰のものだよ。あ?お前の身体は誰のものか言ってみろ」

低い声に視界が潤んで、声も出せない。

「言ってみろよ」

その声だけで、果ててしまいそうになる。


「裕介…さんのものな…の…」
私は喘ぎながら彼の背中に爪先を立てる。

「わたしのいやらしい…とこ…全部…あなたのもの…」


ぐちゅぐちゅと愛液が泡立つほど、彼の指が出し入れを繰り返す。
私は、その指を飲み込んで、締め付けて。


「これ以上…溺れさせるな」
彼が、また唇を落としてくる。

「はや…く…はやく…ほしい…」

「何が欲しい」
「…ぅ…」

「言え」
「お…ちんち…ほし…」

「誰の。誰のちんぽが欲しいんだ」
「ゆうす…けさんの…っあ…」

「ちゃんと言え」
「ゆ…っ…ゆうすけさんの…おちんぽほしい…ぃっ!」


叫び声を上げる。涙が滲む。
膝裏に手を掛けられ、限界まで足が広げられる。

「やらしいまんこだな…」
ぱっくりと開いた中まで、視線が入り込んで体が震える。

「此処は俺のモノだ」


低い声で、確認するように。
彼の高ぶりが熔けた箇所をずるずると往復する。

「…っ…ぅぁんんっ…!!」
私は甘えた声を上げながら、腰を揺らして擦りつける。

「他のちんぽじゃ駄目な身体にしてやるよ…」
「あ…あ…」

ずるりと彼の熱さが私の中に沈み込む。

私の中が、まるで喜ぶかのように
びくびくと細かく痙攣しながら、彼のものを受け入れていく。


「…っ…は…美羽…」
「…ひ…ひ…だ…め…わ…たし…」
「…ッく…いいか?…ちんぽ…いいか…?」
「い…いいの…おちんぽ…いいっ…!!」
「ほら…美羽のまんこに…入ってる」
「あ、、、おまん…こ…きもち…い…」


熱い息が絡み合う。

「…愛してる……美羽…」


私も。
私も愛してるわ。


出せない言葉。
代わりに叫び声を上げながら彼のものを受け止める。

「もっと…もっと奥までつい…て…!!」


部屋に、ぐっちゃぐっちゅと湿った音が響く。
私は、彼の動きに合わせて腰を振る。

汗と涙で髪が貼り付いているのを指先で避けながら、彼は唇を落とし続ける。
私は、だらしなく開いた唇で彼の唾液を受け続ける。


体中、どろどろと混ざり合う二人の体液で汚されて。

きつく抱き合ったまま、彼の白濁が私の奥に注がれて、溢れた。




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官能小説「零れる月」 教師(9) 

彼のペニスから白濁が弾けた後も、
私の体はびくびくと痙攣したまま収まらない。


「…ッく…締めるなよ」
彼が突き入れたままで身体を揺らす度、また波が押し寄せる。

「こ…わい…怖い…抜いて…ぇっ…あああ!」

彼は、その反応を楽しむようにゆるゆるとまた動き始める。
溢れかえった中はずるずると滑って、彼が動くたびにぬるぬるとした感触を伝える。


彼のペニスはまだ堅さを保ったまま。
私は、中でびくびくとまた大きさを増すものに、叫び声を上げる。

彼が、接合部からとろとろと溢れ出すものを指で掬う。

「ほら、零すなよ」
口元に、混ざり合った二人の体液が運ばれる。


淫猥な臭い。

泡だった蜜を乗せた指が唇になすりつけられ、
私は虚ろな意識のままそれを口に含む。
彼の指先が、また犯すように口内をかき混ぜる。


なすがままにだらしなく開いた唇。

喉を震わせるたびに、くわえ込んだままの箇所も
びくびくと彼のものを締め付ける。

彼のものがずるりと引き抜かれ、私は全身の力を失った。



「風呂入るぞ」
彼の言葉に、力無く頷く。

「お前も入るんだよ。洗ってやる」

彼の腕が腰に回されて
私は抱え付くようにバスルームへと運ばれた。



丸い浴槽。狭いバスルーム。

私はへたりと冷たい床に座り込んで、
勢いよく吹き出すシャワーの音を聞いた。

「大丈夫かよ」
彼の笑いを含んだ声。

「だめ……」
ぼんやりとした頭で浴槽の縁に上半身を投げ出す。

「湯、溜めときゃよかったな」
熱めのシャワーが体にかけられて、少し意識がはっきりする。

「ほら、足開け」


私は、おずおずと足を開く。

「もっと。ちゃんと洗えねーだろ」
彼の手で、足がM字に開かれる。

明るいバスルームで、顔が羞恥に染まる。

「自分で…洗え…るから」
「ちゃんと掻きだしてやる」
「……ひぁっ!」

彼の指がずるんと差しいれられる。
反射的に閉じかけた足は彼の膝に阻まれて。

「また、出しちまったな。大丈夫か」
彼の指が、私の体内から精液を掻きだすように
ずるずると出し入れされる。


「…っ…はっ…だいじょ…ぶ…」
私は、びくびくと体を震えさせながら答える。

「理性吹っ飛ぶ前に止めてくれよ」
指がずるずると出し入れされたままで、彼の冗談めかした声を聞く。



彼は、時々避妊をしない。
やはり、私はただの玩具なんだろうか。

指を出し入れされたまま、勢いよく水流が秘部を捉える。

「ひ、、ぁっ…あああっ…!!」
膨らんだままのクリトリスに電流が走って叫び声を上げる。

「…いやらしい顔するなよ」
彼に唇を塞がれて、私の中は彼の指を締め付ける。


「指じゃ間に合わねぇな」
彼が私の腕を引っ張る。彼の高ぶりが視線に入る。

「四つん這いになれよ」
私は、つんのめるように四つん這いになって浴槽に手を掛けた。

「…ッん!!」
「あ、、、ああああ!!」

また、彼の熱さが私の体を貫く。


「ほら、奥まで洗ってやる。腰突き出せよ」
彼の荒い息が混ざった声。

私は、ゆるゆると浅く腰を前後させる。


「んな、届かねぇだろ」
彼の手が腰を掴んで、深く腰を打ち付ける。

「い、、やぁぁぁぁ!!」
子宮の入り口まで突き開かれて、私は叫び声を上げる。


「だ…め…だめ…壊れちゃうよぉぉぉ!!」

彼の動きがどんどんと激しくなる。
両の乳房がたぷたぷと揺れてぶつかり合う。


「お前は俺のモノだろ…壊そうが俺の勝手だ」

彼の両手が肩に掛けられて、上体が反り返る。
私は、もう声も出ないまま揺さぶられ続けて。



俺のモノ。
その言葉が哀しいのか、嬉しいのか。
押し寄せる感情の波と共に絶頂が訪れる。

ただ、求められることで私は満たされる。
愛なんてもう、私には判らない。



部屋に着く頃には、もう空が白んでいた。

別れ際、彼の口から別れの言葉は出なかった。
私は、彼に全てを委ねようと決めた。

彼の連絡が途絶える時、この関係も終わるんだろう。
そしてきっと、突然その時は訪れるんだ。



気怠い思いと体を抱えて、静かな部屋に入る。

「ん…おかえり」

その声に跳ね上がる。
「…起きてたの?」

ソファーに埋もれて眠そうな顔の恋人は、私に笑顔を向ける。
「なんか眠れなくてさ」

「お疲れさん。風呂入っといでよ」
「…うん…」


彼は、背伸びしてからベッドのある部屋の方へと向かった。
私は、その姿を立ちつくしたまま見送る。



シャワーを顔に浴びせかけながら、私は色々なことを思った。

自分の欲望のまま、私を捉えて離さぬあの彼のことも。
何も聞かずに触れずに、いつも私を待っている恋人のことも。


出口も、答えも判らない感情の渦。
日常と非日常を行き来する体と心。

私は、自分を守るために、
その思考を止めた。



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官能小説「零れる月」 教師(10) 


私は一哉の車からなかなか降りられずにいた。

部屋の場所を彼は知りたがっているんだろう。
とうとう大学の近くまで来てしまった。


「ここでいいから」

何度目かの台詞。
強くなる語尾に、やっと諦めたように車が止まった。

枯れ草が広がる細い道。
教師の彼をいつも待つ場所のすぐ側だ。


「また誘うよ」

一哉が馴れ馴れしく頭を引き寄せて耳元で囁く。
その湿った息に肌が粟立った。
彼からは、まだ、行為の残り香がする。

その体臭と感覚がまた私を支配しそうで
礼を言うと、やんわり引き剥がすように彼から離れた。


名残惜しげに窓が閉まり
黒い車がゆっくりと離れていく。

私は、その影を見送ることもなく
逃げるように背を向けて歩き出した。



久しぶりの講義は恐ろしく長く感じる。

外に出る気になれなくて閉じこもっていた間
今期の単位獲得のいくつかが危うくなっていた。

まるで頭に入らない
子守歌のような教授の声を聞きながら
メモを取るフリをする。

メモを取ろうにも
鞄の底から見つけだしたペンのインクは
どうやら切れているようだ。

講義に出ようと思い立ったものの
なんというやる気の無さだろう。

くるくると、ノートにペン先を走らせて
白い紙に残されていく炙り出しのような模様を眺めながら、
私は、ぼんやりと思考を巡らせた。


ずるずるとした関係が良くないのはわかっている。

…いっそ、全ての糸を断ち切って自由になってしまおうか。


大学をやめて実家に帰って。
近所で勤めたら家族は喜ぶだろう。
夢があるわけでもなし、どんな職種でも構わない。

お見合いでもして、結婚して
普通に子どもを産んで育てて

その気になれば、いくらでも逃げ出す手段はあるのだ。
全てをやり直すことだって。
きっと。


がたがたと人の動き出す気配で顔を上げる。
長い長い1コマは終了したみたいだ。

私も小さな鞄を抱えて立ち上がると
人の流れとざわめきに乗って教室を出た。


良は…

元気にして居るんだろうか。
まるで何年も会っていないかのように懐かしい。

何の連絡もないことが有り難かったけれど
私の存在が彼からすっかり消し去られたようで
矢張り淋しくも思う。


何も言わないけれど
何も聞かないけれど

彼は全てを見ている。
そんな気がした。



「美羽!!」
人混みの中から呼ぶ大きな声。

「久美?」

聞き覚えのある声の方へと目を凝らすと、
人をかき分けるように此方に向かってくる
久美の姿が見えた。

「久しぶり!今日は講義に出てたのね」
相変わらず良く通る大きな声。
とても元気そうだ。

まるで子どものように二つに結んだ髪。
派手な髪飾りも幼い顔つきの彼女にはよく似合った。

「うん。体調も戻ったから・・・」
「え、風邪でも引いてたの?どうして呼ばないのよ!」
「ごめんごめん。でも、もう大丈夫よ」


責め立てる口調と仕草を笑いながら宥める。
そういえば、随分と長い間笑っていなかった気がする。

「あ、そうそう。美羽にお客さんよ」
「お客さん?」


人の波が引いて、視界が広がる。

見慣れたスーツ。
いつもよりはしっかりと締められたネクタイ。


「…さえき、先生?」


現実の感覚が危うくなる。

私の「日常」に存在しないはずの彼が
確かに其処に、居た。






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出会い